冷酷非情な黒と久しぶりに唇が触れ合った。誰にでもしないという特別なキスが降ってきたのだ。先程の冷酷さはなりを潜めたように、次は俺を優しく扱ってくる。 「んあ！や…ぁう‥」 まだ硬さを持ったない芯を握り込まれる。緩やかな愛撫に快楽を得た。感じる部分を熟知されていて的確に刺激してくる。 黒はバスローブを一切乱すことなく貪ってくる。それでも彼の瞳はいつもより熱く熟れているように見えた。 「っあ‥ん、黒‥狡い…」 「何がだ」 「あんた…だけ…涼しい顔で…」 ふんっと鼻で笑われた。的確な刺激のせいで硬さを持ち始めたそれの裏筋を指で擦られると素直に気持ちがよかった。 「あぁ…っ…う…や‥」 「貴様は俺をどうしたい」 「脱いで‥ほしい」 恋人でもないのに何故か虚しくなった俺は黒にとんでもないことを口走っていた。 聞き入れてもらえないことなど百も承知だ。それでもやはりセックスはお互い裸でしたい。そう思うのはいけないことだろうか。 「貴様が脱がせるなら考えてやる」 「ん…ぁ…むり、うまく…あぁ！」 脱がせろと言う割にはそうさせまいと感じさせてくる。果ててしまいそうな吐精感のまま、打ち震え体を押さえつけ手をバスローブの帯へ伸ばした。黒の助けを借りて剥ぎとった。 そして俺はもう一つのわがままを通すべく与えられる快楽の中、眼帯に手を伸ばす。 「眼帯は外すな…」 「なんで…前は…」 「何の見返りもなく見せると思うのか」 やはり眼帯の先をまた見ることは叶いそうもない。でも俺がきちんと奉仕をすれば可能性はある。そう思っていると強い快楽の波が押し寄せて俺は黒の手の中で絶頂を迎えた。 俺は黒の左目に執着している。情夫達のみたことが無いであろう部分を独占したい。そんな思いを抱いていることに最近自覚した。 勝手に許しなく達してしまったことにお咎めはなかった。そのかわり次は俺が黒を感じさせなければと思い上体を起こした。 「…次は俺がする‥」 「何をだ」 「あんたを気持ちよくする」 黒の拒絶しなかったのでベッドへ仰向けになった足の間に座った。下着のあわせから取り出したものは鋭い凶器のように主張していた。それをそっと握ると火傷しそうなくらい熱を帯びていた。 手で扱き、刺激を与えていく。されてる最中、黒の表情に変化はなかったが塊が脈打ち息を乱している。その様子から少なからず感じているのが読み取れた。 黒の手が徐に頭に伸び乱雑に撫でられた。まるでわがままな猫をあやす様なその手つきから、若干の優しさを感じたのは気のせいではないはず。黒も生まれ持っての鬼ではない。どんな過去を背負い冷酷非道な男になったのかはわからないが、優しさだけはまだ失われていないように感じた。 撫でられる手つきだけで俺の体は再び熱くなる。一度も自分からしたことのないキスをしようと体を上に伸ばした。 「ん…んん‥ッ‥」 強請る様に自ら交わしたキスを受け止められ、隙を見つけては舌が滑り込んでくる。口内を舌で犯され、吸い上げられた。暫くして唇が離れる。 塊を握った手を激しく動かし、快感を煽る様にすると黒の息遣いが変わり下腹部が上下に動いた。絶頂が近いのかもしれない。そう思うと嬉しくてそっと熱い塊にキスを落とした。 「んん…っ…」 先端を咥え込み口内を埋めていく。喉元まで納まっても尚すべて飲み込むことが困難な大きさに育っている。中で波打つ感覚に激しく吸い上げながら舌を動かす。恥ずかしい行為も今や躊躇いもなくできてしまっている。 間もなくして黒の塊が口内で弾けた。広がる生暖かい液体を飲み込む。出してすぐなのに黒のはまだ怒張したまま上を向いている。その凶器を見ているだけで俺の後孔が自然とひくりと動いた。自ら黒を求めているのだと再認識した。