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第14話 与えられる恐怖

「ん…あぁ!…首領…も、イ…」 「まだ駄目だ。堪え性のない…」 耳で燈との情事を聞かされて己が飢えているのだと実感した。俺の体を這い回る手が瞳が今は燈に向けられている。嫉妬に似た感情が心を覆う。縛られたほうがマシだとは思ったがこれはあんまりだ。 「燈…入れてやれ…お前の乱れる声だけでこいつも感じている」 「周、今…気持ちよくしてあげる」 燈が黒の命令で俺の尻を押し開き何かを塗り込んだ。その後硬く熟れたものが押し入ってくる。 「ッあ!止め…」 「周…君も感じろ…」 すべて納まるころには燈は達してしまったような声を上げ、動いてもいない硬い塊が中で弾けた。生暖かい物を注がれたが全然気持ちよくない。 そうこうしていると燈が腰を動かし始めた。初めは浅くそして徐々に深く貫かれる。 「…くぅ…っあ…」 「どうだ。気持ちいいか?」 黒は平気そうに聞いてきた。頭が混乱してそれどころじゃない。それに黒のとは比べものにならないくらいの大きさで全然いいとは思えない。 燈は気持ちがよさそうに喘ぎながら腰を打ち付け続けてくる。緩い快楽が体を支配する。 「っ…ん…よくない…」 「そうか…だが貴様には入れてやらん」 「どうして…」 「嘘で私を謀ろうとした。そんな貴様に褒美などおこがましい」 裏切ったと思われても仕方がない。実際護衛として側にいて従順なふりをしていても素振りだけで心を籠めてはいなかった。傷つけたのなら当然の報いだろう。この程度で済んでよかったといえる。 「ん…すまなかった…首領の言う通りだ。あんたを騙してた」 「お前の忠誠が偽物であると気づいていた。それでも酷いことはせず様子をみてやっていたんだ」 「…裏切り者はどうする」 「それ相応の粛正をする。だからまずは貴様の自尊心を壊してやる」 そういうと黒は再び燈を追い上げるように腰を激しく動かした。中にいる燈のものがびくりと痙攣し、絶頂へと這い上がっていく。こんな生殺しの状態で一方的に燈が気持ちよくなり、そのたびに注ぎ込まれては不快感しか感じない。これは拷問に近い。 「っ…ぁあ!…ぅ…く…!!」 「っう…燈…くそッ…」 中に放たれた熱い物が溢れ零れ落ち足を伝う。気持ちが悪く視界を遮られてままで涙を流した。こんな仕打ちはやはり耐えられない。黒は誰も信じてはいない。人を恐怖で支配し従わせる。 背いた者にはそれ相応の対処をし性根を叩き壊す。最後のチャンスを与えられることなくどこまでも奈落の底へ突き落すのだろう。 生殺しのまま数時間続いた情事は夜明けまで続いた。薬が切れた頃に燈は部屋を出て行った。それからというもの俺は拘束されたままでいる。このまま目隠しをされたくない。 「黒…もうこれを解いてくれ…」 「言い方には気をつけろ」 ヒヤリと首元に何かを押し当てられた。尖った刃物のようなものだ。生暖かい液体が伝うのを感じる。視界を奪われているせいで他の感覚が研ぎ澄まされているらしい。血だ‥首から血が流れている。 熱くて柔らかいものが傷口から滴る血を救い上げる。髪の感触を顎先で感じながら舐められているのだとわかった。黒が俺の血を飲んでる。まるでヴァンパイアみたいだ。 「首領…やめて…下さい」 「この期に及んで逆らうのか」 「俺を信じてくれ。もう1度チャンスをください。護衛として…」 「…信じられない」 急に視界が開け目隠しを外された。明るさに一瞬目が眩むがその後すぐに黒を捉えた。 あの目は絶望だ。なんの色も映していないようなそんな目をしていた。 「信じてくれ。このままでいい。俺をもう一度ちゃんと見て欲しい」 「拘束を解かなくていいのか」 「構わない。罰はちゃんと受けるから」 俺は黒の足に縋りつき懇願する。自分の行いは間違っていたんだ。騙せると高を括っていた。騙し通せる自信があった。体さえ交わっていればバレないと思っていたんだ。そのすべてが浅はかな行いだった。 これから繰り広げられる罰がどんなものかは知らない。それでも俺は謹んで受ける。今度こそすべてを明け渡す。黒だけの為に生きるんだ。  

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