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第15話 地下の監禁生活
地上に出ると月明かりに照らされた噴水が現れた。ここに来たのは初めてだ。まだまだ知らない場所が沢山あるみたい。
「おい、何してる!」
声のする方へ振り向くと燈がこちらを睨むように見つめていた。
「鍵が開いててそれで…」
「出てきたのか。開いてたからってのは理由にならない」
「もう1ヶ月になる。頭なら冷やせたし首領の役に立ちたいんだよ!」
「だったら尚更部屋に戻れ。二度と日の目を見れなくてもいいのか」
黒にバレたらさっき会った男のように薬物中毒にさせられて死ぬまで繋がれて続けるのだろうか。人として扱われることなく死ぬのは御免だ。
「黒に会わせてくれないか?」
「わかった。いいように取り計らってやる。そのかわり今は一旦地下室は戻れ」
燈の言葉を信じて、一旦部屋に戻ることにした。こんな形で死ぬのは嫌だ。もう一度チャンスが欲しい。
心ごと全部黒は明け渡す覚悟はとうに出来ている。今度裏切れば必ず殺されるだろう。
燈が取り計らってくれたようで地下室から出され、今部屋に向かっている。
「暴れるなよ。こんなことで会う機会を台無しにしたくないだろ」
「わかってる」
入り組んだ道を進み、見慣れた部屋の扉にたどり着いた。この扉の向こうに黒がいる。ここからはどんなに演技しても通用しないだろう。忠誠心を問われる。そして一度無くした信頼を再構築するのは難しいだろう。
燈が扉を開き中へと招き入れた。
「燈、ご苦労。さがっていい」
「はい、では失礼致します」
燈はあっさり部屋から出て行った。二人きりで空気が重い。黒はここ一カ月程離れていても何の変化もみられない。一方俺は5キロほど体重減少したように思う。久しぶりに自分のズボンを履いたらブカブカになっていた。
重たい空気の中沈黙が続く。こちらから何かアクションを起こさなければ黒は何も言うつもりはないのかもしれない。生唾を飲み込んで覚悟を決めた。
「会う機会を下さりありがとうございます」
「燈から話は聞いた。貴様の覚悟がどの程度が今から試す」
「そのつもりです」
何をされるのか不安はあるがここで引くわけにはいかない。覚悟を見せなければ黒がもう一度信じてくれないだろう。
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