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第22話 愛するということ
風呂から出た黒が珍しく黒いバスローブ姿で現れた。いつかの面影を感じる。俺はベッドの上で身動きできずにいる。驚いて体が動かなくなってしまったみたいだ。
「黒、その恰好」
「ん?あぁ、久しぶりだろう。なんだ見惚れているのか?」
「べ、別に…見惚れてない」
こちらにゆっくり進んでくる黒がベッドに上がった。ぎしりと軋んでも尚俺の体は微動だにしない。どうしてなのかわからないまま黒を見つめている。
「黒‥」
「なんだ?」
「したい。だめかな?」
「何をしたいんだ」
わかっているのに聞いてきたのか本当にわかっていないのか分からず返答に困ってしまう。でも体はただ熱く反応している。待ちわびていたかのように疼き始めた。
「なにって…その…セ、セックス…」
「…く…はははっ…」
「な、なんで笑うんだよ」
「いや、色気のない誘い方だと思ってな」
そういうとバスローブを脱いで覆いかぶさってきた。ふわりと黒の香りが鼻を掠めただけでぞくりと体が震える。与えられた快楽の記憶は俺の中に深く刻み込まれているようだ。飢えたように体は震え快楽を待ち望んでいる。
迫ってくる顔は何処か優しく、少し切なさが混じっているように感じた。そっとキスが落ちてくる。
「ん…黒‥」
「もう臨戦態勢だな」
「こ、これは…久しぶりだったし」
「そういえばそうだな」
ちゅっと再びキスが落ちてくる。体を這い回る手つきは今まで感じたこのないものだ。ゾクゾクと体が痙攣し達してしまいそうになる。まだ体を撫でられただけなのにお預けされた効果は覿面だ。
「っ…黒…やぁ…」
「もうこんなになっているんだな」
「だって…」
黒の手がすでに起ちあがっているモノを握った。何度も擦り上げられる。素直な体が憎らしく思うほど強い快楽を感じた。先走りを絡ませた指が器用に良いところに触れてくる。括れや先端を絶妙に刺激し、優しさに溢れた愛撫は止むことなく続く。
「っあ…も…出る…く…っあ!」
「…出せ。久々の射精だ。存分に楽しむと良い」
「く…ぅ…ああ!!」
激しさを増した手技に遂に絶頂を向かえ、黒の胸にまで飛び散るほど勢いよく白濁を吐き出した。目の前がチカチカと火花が飛び散るよう感覚が暫く続く。
「どうだ?久しぶりだっただろう」
「…死ぬかと思った」
「そんなんで死にはしないだろ。それにしても…ん、やはり濃いな」
「そ、そんなの舐めるなよ」
黒は恥ずかしげもなく胸に飛び散った精液を指でひと掬いすると口に含んだ。濃いも薄いも知らない者からすればどれも同じだろうと思うが場数を踏んでる黒なら違いもわかるのだろう。
「間抜けな顔だな」
「それはあんたがいつもより…」
「いつもよりなんだ?」
「…エロいから…って、なんで言わせようとするんだよ」
満足げにほくそ笑む黒の反応が新鮮でこの幸せがいつまで続くのか怖さすら感じる。
今夜の黒はいつもの数倍以上色気むんむんでやる気満々でこのまま最後までいったら、腰が砕けるんじゃないだろうかと心配が脳裏をよぎるがこんなところで止められない。
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