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第23話 帝王の復活

宴も半ばで退散し燈に後を任せた黒は俺にのしかかっている。すごく欲情した目でこちらを見ている。求められるのは嬉しい。だがかなりの絶倫で俺だけで支えきれるのか不安だ。 他の人を抱かないでくれと頼んだことを後悔している。 「上の空だな。その気にならないか?」 「いや、違う。俺以外抱かないって…」 「約束は守っている。おまえ以外抱いてない」 「でも俺一人では…」 そう言いつつも服を剥ぎ取られる。黒は俺だけを抱くが、以前はどのくらいの人と何回くらいしていたんだろう。 「ほぉ、おまえ以外を抱いてもいいんだな」 「俺が許したら、あんたは他の人を抱くの?」 「…時と場合によるだろうな」 「そんなの嫌だ」 情けない声で言うと黒は呆れた顔で頭を撫でてきた。自分から言いだしておいて勝手に傷ついている。なんて自分勝手なんだ。 「嫌ならはじめから言うな。全く。お前は手がかかるな」 「ごめん。俺以外の人を抱いて欲しくないのに毎日抱かれて…体がもたない」 「毎日求められるのは嫌なのか?」 「…嫌じゃないけど、何回もするだろ」 黒は一晩で何回も求めて来る。なかなか中から出ていかない。それだけ愛されてると思うと幸せな事なのだろうが、体が壊れそうで怖くなる。回数を減らすということで黒は妥協してくれたが、その分濃い内容になるのは容易に推測ができる。 「はぁ…週の回数は減らすと言ったが一晩でする回数を減らすとは言ってない。お前は私に我慢させて何がしたいんだ」 「我慢させたいわけじゃないけど、もう少し自制してほしいんだ。一晩で3回までに留めてよ。翌朝、辛いんだ」 「…3回か。まぁいい。わかった」 黒はしぶしぶ了承してくれたが難色を示したままだった。これで少しは肉体的疲労から解放されるだろう。だが黒に我慢させるのは本意じゃなかった。あんなに野望を叶えるためなら肉体関係をも駆使する男が俺相手に執着している。肉体関係を結びたいと求められる。悪い気はしない。俺もなかなか独占欲が強い。 首領相手に他の人を抱かないでなんて誰にもいえないだろう。 「ほら、もう一回会場に戻ろう?」 「何故だ」 「主役が退散したらいい気しないよ。みんなあんたに会いに来てるんだから」 「首領代理が対応しているだろ。失礼には当たらない。それにアイツらはゴマを擦りに来てるだけだ」 吐き捨てるように言った黒から優しさは微塵も感じない。支援者は金銭以外にも商売をする上で上手く取り計らってくれている。地位が上の人もいる。例えば大臣や議員など政財界に一石投じてる人もいる。 「どうやって他の人たちを丸め込んだの?」 「弱みを握り脅迫した。アイツらは清廉潔白には程遠い」 「流石だね。あんたならやりそうだ」 脅迫や弱みを握り利用しまくる。絞り上げるだけ絞り使えなくなったらあっさり捨てる。そんな冷酷な姿もまた黒の一部なんだ。だとしたら、俺は目を逸らさずその姿も受け入れて愛するだけ。 復活を遂げた黒は今まで以上に己の野望を叶えるためならどんなことでもするだろう。一度打ちのめされて立ち上がった男はそう簡単には倒れない。一度地獄を味わった者はしぶとい。 そんな黒に俺はこれからも付いて行く――

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