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第1話『夏祭りの夜に』(5)蒼汰×夏葵

〜side.夏葵(なつき)〜 先にお風呂を使わせてもらう事になった俺は、念入りに体を洗って体の準備をする。 蒼汰(そうた)のシャンプーやボディーソープの香りに包まれる幸せ。 さっきの蒼汰…カッコよかったな…。 『俺は今夜夏葵を抱きたい。でも、夏葵がそんな気持ちになれないなら、いくらでも待つ』 このまま流れでセックスする感じだと思ってたから、きちんと言葉にしてくれて嬉しかった。 「俺も…今夜、蒼汰に抱かれたい」 本当は今すぐにでも…と、伝えるとホッとした表情を浮かべた蒼汰はきつく抱きしめてくれた。 借りたTシャツと短パンは俺のよりワンサイズ大きかった。 身長は同じくらいだけど、蒼汰は逞しい体つき。 抱きしめられる度に感じた厚い胸板を思い出してドキドキした。 緊張しながら部屋へ戻ると、『掃除機かけてないし、ソファーも狭いからベッドに座っててくれ』と言って、蒼汰はお風呂場へ消えた。 さっきより部屋が整ってるから、急いで片付けてくれたのかも。 ネイビーと白のチェック柄のシーツがかかったベッドに座った。 いつも蒼汰が眠っているベッド。 これから…蒼汰と体を繋げるベッド。 恋人の家にお泊まりするのも、セックスをするのも初めてじゃないけど、今夜はやたら緊張する。 映画やドラマみたいな急展開で夢見心地だし、何より蒼汰がカッコよすぎるから…。 あんなに好きなタイプの顔面の人とどうやってセックスしたらいいんだろう…。 見るのも見られるのも恥ずかしい。 でも…見たい。 俺に欲情する蒼汰の顔を間近で見たい。 あれこれ考え事をしていると、パンツ一丁の蒼汰がお風呂から出てきた。 いきなりの半裸に驚いて変な声が出た。 恥ずかしくて手元にあった枕で顔を隠すと、蒼汰がフッと笑った。 セクシーで目のやり場に困るし、枕は蒼汰のにおいもするし、どうにかなりそう…と思いながら、惜しげもなく晒された体をチラ見する。 均整の取れた健康的な体つき。 肌もみずみずしかったし、想像した通り筋肉質だった。 蒼汰は濡れた前髪を後ろに撫でつけていた。 前髪をおろしていると柔らかい雰囲気だったのに、前髪を上げると雄感増し増しのキリッとした雰囲気になった。 何、この一粒で2度オイシイ感…!! どっちもタイプ…。 「何だよ、照れなくてもいいだろ」 蒼汰はミネラルウォーターを飲みながら隣に座った。 お風呂上がりで火照った蒼汰の温もりが伝わってきて心臓が騒がしい。 蒼汰が何かしら話しかけてくれるけど、ほぼ裸の蒼汰が隣にいるから全然頭に入ってこない。 うつむいてモジモジする事しかできなかった。 「夏葵…」 とろけそうに甘くて優しい声。 ハッとして顔を上げると、蒼汰が熱い眼差しを向けてくれていた。 きっと…俺に触れるタイミングを見計らってくれてるんだと思う。 いきなり手を出して俺が怖がらないようにしてくれてる…。 知り合ってまだ数時間しか経ってないけど、ちゃんと愛されてるし、大事にされてるってわかる。 俺だって蒼汰が欲しい。 早くキスをして欲しい。 俺を守ってくれた大きな手で体中に触れて欲しい。 俺からも抱きついてキスしたい。 蒼汰の体に触れたい。 でも自分から仕掛けすぎたら、慣れてる感が出て蒼汰を驚かせてしまうかも…。 ものすごい淫乱だとか、遊んでるとか思われて蒼汰に誤解されたくない。 それに…最初は大好きな蒼汰に全部委ねたい…。 「全部…触って…」 俺もじっと蒼汰を見つめて小さくうなずいた。 続きをして…って思いを込めて。 蒼汰が緊張した様子で、俺の頰に触れてくれたから黙って瞳を閉じた。 「好きだ」 甘くて、ちょっとかすれた『好きだ』の後、ゆっくり触れてくる柔らかな温もり。 唇から伝わる蒼汰の気持ちに胸がキュンとして…お腹の奥の方が甘く疼いた。 あぁ、やっぱり我慢できない。 両手を伸ばして蒼汰に抱きつくと、俺からも好きって伝えて触れるだけのキスをした。

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