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第1話『夏祭りの夜に』(10)蒼汰×夏葵(※)

〜side.夏葵(なつき)〜 「夏葵、好きだ…」 蒼汰(そうた)の眼差しと『好きだ』に胸がドキッとする。 『好きだ』も『愛してる』も『可愛い』も何度も言われた事があって、割と聞き慣れた言葉。 でも蒼汰の『好きだ』は全然違う。 同じ言葉だって思えないほど心に響く。 蒼汰の想いは俺の耳から順番に全身へ伝わっていく。 まるで体中を巡る酸素や血液みたいに。 「俺も好き…。蒼汰が好き」 好きって言うと、濡れるはずのない蕾が蒼汰を求めてしっとりしてくる気がする。 もう欲しくて欲しくてたまらない。 蒼汰にリードしてもらいながら、見つめ合って体を繋げた。 体格差があって、蒼汰と一つになるのはちょっと大変だったけど、それ以上に幸福感が大きかった。 「痛くないか、夏葵…」 心配そうな表情で頬を撫でてくれる優しい手。 蒼汰だって余裕がないはずなのに、俺の体を気づかってくれる。 「うん、大丈夫。蒼汰は?」 「俺は平気だ。…ありがとな、俺を受け入れてくれて」 「うん…」 本当はまだ体が馴染んでなくて違和感がある。 でも、この圧迫感も蒼汰と結ばれた証。 かけがえのない大切な思い出。 蒼汰の潤んだ瞳が愛おしそうに俺を見つめる。 愛してる蒼汰に愛されている事が嬉しくて、俺も泣きそうになる。 蒼汰と出逢えたから知る事ができた幸せ。 見つめ合って、キスをして…2人で一つになれた喜びを共有したい。 「蒼汰と一つになれて嬉しい…」 頬に触れる蒼汰の手に自分の手を重ねて頬ずりすると、ポツリと頬に何かが落ちてきた。 「蒼汰…泣いてるの?」 「ん…、夏葵と結ばれたんだな…と思ったら勝手に…」 へへっと照れ笑いをしながら頬に垂れた涙を拭ってくれた。 ズズッと鼻水をすする蒼汰が愛おしい。 蒼汰と出逢えてよかった。 真っ直ぐで感受性豊かで…俺の事をこんなに愛してくれる。 もっと愛して欲しい。 俺からも愛を伝えたい。 両手で蒼汰の頬を包み込むようにしてキスをした。 キュ…キュ…と蕾を窄めて合図を送る。 動いて…って。 「…動いていいのか?」 「うん…、欲しくなっちゃった…」 自分からおねだりするのは恥ずかしい。 でも、蒼汰はずっと俺の気持ちや体の準備が整うを待っててくれるから…。 「夏葵…一生大事にする」 「俺も…一生蒼汰を大事にする」 気持ちを伝え合ってキスをして…。 ぎゅっと俺を抱きしめたまま、ゆっくり蒼汰が動き出した。 最初は浅いところを丁寧に。 だんだん奥の方で感じる蒼汰自身。 「ぁ…あぁん…」 「気持ちいいか、夏葵」 「うん…」 「そうか…よかった…」 嬉しそうな蒼汰の笑顔。 蒼汰は言葉通り本当に俺を大切にしてくれる。 くっつくのが好きって言ったから、ずっと抱きしめていてくれる。 俺も蒼汰を大切にしたい。 蒼汰の好きな事をしてあげたい。 蒼汰にも喜んで欲しい。 「ねぇ蒼汰…」 「ん…どうした?」 「あのね…蒼汰の好きなバックでも抱いて…」 俺は蒼汰の耳元でそう囁いた…。

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