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第2話『9日間限定の恋人』(15)俊哉×凪彩(※)

〜side.凪彩(なぎさ)〜 想いを寄せていた(とし)くんが俺の事を好きって言ってくれた。 何者かもよくわからない俺を好きになってくれた。 俺を見てくれる人に巡り逢えた事が嬉しかった。 それだけで充分だと思ったのに、俊くんは宝物に触れるような優しくて温かなキスをしてくれた。 こんなに幸せなキスは初めて。 「凪彩の唇…柔らかいな」 「俊くんの唇も…柔らかいよ」 「…もっとしても…いいか?」 「うん…」 ゆっくり俺に覆いかぶさった俊くんが頬を撫でた。 それから重なる大好きな唇。 触れる唇や体から俊くんの想いが伝わってくる。 今までの淋しさを埋めるような温かさ。 もう、1人じゃないんだ…。 ジワジワと幸せな気持ちで満たされていく。 このままずっと触れていて欲しい。 「凪彩が好きだ…」 おでこや瞼、鼻の先…俊くんの唇が触れてない顔のパーツは、眼球くらいじゃないかと思うくらいあちこちにキスされる。 スウェットの上から肩や二の腕を撫でる大きな手。 俺を愛おしそうに見つめる優しい眼差し。 俊くんの『好き』を浴びながら、俺は少しだけ驚いていた。 俺が知ってる男の人は、もっとガツガツしてた。 セックス中にこんな風に微笑みかけてもらった事も、顔中に丁寧にキスされた事もなかった。 恋人選びが下手だったし、体目的のお客さんと接する事が多かったから、ほとんど大切にされた経験がなかった。 初めてのキスもベッドに押し倒されてからする方が多かった。 エッチな雰囲気になったら、キスは愛撫の一種。 セックスの中のただの一過程。 そんな流れだと思ってたから、俊くんが初めてのキスを仕切り直ししようとした事が不思議だった。 俊くんに大切にされて初めて、自分の感覚が偏っている事を知った。 「俊くんのキス…気持ちいい…」 頭がふわふわして、体の力が抜けていく。 広くて温かいお風呂に入ってるみたいな心地よさ。 幸せだよって伝えたくて俊くんを見ると、ちょっと困った顔で俺を見ていた。 「…どうしてそんな顔するの?」 「…ん、ふにゃふにゃの凪彩が可愛くて…このまま見ていようか、先に進もうか…真剣に迷ってる」 そう言いながら、チュッチュッと頬にキスする俊くん。 本気で悩んでる俊くんの方が可愛い。 俺に当たってる下半身はもういつでも大丈夫な状態なのに。 俊くんの両頬に手を添えてそっと口づけた。 何度かしながら、誘うように俊くんの唇をペロッと舐めると、俊くんの表情に雄みが増した。 …俺に欲情してる…。 「…やっぱりだめだ、我慢できない。凪彩が欲しい」 エッチなモードになった俊くんの表情にゾクゾクして、お尻の奥の方が疼き始める。 弾けたくてウズウズしてる俺自身も何とかして欲しい。 「俺も…もう、我慢できない…」 して…と、おねだりしながらキスを仕掛けた。 俊くんの全てが欲しかった。 「…んっ、はぁ…んんっ…」 あっという間に俊くんのペース。 俊くんの熱い舌が俺の舌をねっとりとなぞる。 そうかと思ったら敏感な舌先を吸われたり、扱かれたり。 上顎の性感帯もすぐに見つかってしまって、そこばかり舐められる。 巧みな舌づかいに翻弄されて、もう腰砕け。 キスの合間に甘い言葉を囁かれたり、着ている物を脱がせてもらったり。 いつの間にか俊くんも全裸になっていた。 俊くん…慣れてて上手い…! それに…引き締まった体がたまらない。 厚い胸板も、逞しい腕も、割れたお腹も、勃ち上がった大きな性器も…俊くんの体を形成する全部の要素がエッチ!! 俊くんの張り詰めた性器が美味しそう。 ツルッとした先端にキスしたい。 カリの部分を舐め回したい。 奥まで咥えてしゃぶりたい…。 エッチな欲望は膨れ上がるばかり。 俺は俊くんのセクシーな裸体に夢中になった。

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