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第3話(ジョン)

「俺、いくらであんたに買われたの?」 車に乗せると、急に不安そうな声でトビーが呟いた。 荷物らしい荷物なんて無いのか、トビーはほぼ手ぶらだ。 小さなショルダーを一つだけ。 「知らなくて良い」 「どこに連れてくの?違う店で働かせるの?それとも臓器でも売る?」 「臓器売買は俺の専門じゃねぇ。俺は武器商人だ」 「そうなんだ、、、」 まだ不安は拭えていないらしい。 トビーは怯えた顔をしている。 「俺の家に連れて行く。これからお前は俺のモノだ。客は取らなくていい」 ヨハネスブルクでの大規模な武器取引をWIAに邪魔され、トビーを買うのに時間がかかった。 金をかき集めたが足りず、最近はかなり危険な仕事にも手を出している。人間は簡単に闇に落ちる。 そして、このトビーへの執着が何なのかは自分でも分からない。

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