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episode.15
「スミレ明日も学校やろ?そろそろ風呂入って寝り〜。」
人間の1日は早い。
日が昇れば学校
日が暮れたら就寝。
そんなんの繰り返しで何が楽しいんやろうか、早よ死ね
…と思っとったのは少し前までの俺。
「課題おわんねーんだよ。」
「スミレは真面目やなぁ。」
「うっせ。補習んなったらお前と…。」
スミレは何か言いかけて、なんや顔赤くしてまた汚い字と向き合った。
「俺と、なぁに?」
そんなかわええスミレ見たら
俺かて、からかわんとおれるわけないやん?
「なぁスミレ教えてやぁ〜。」
ようやく会話をしてくれるようになったスミレに、
嬉しさのあまりウザ絡みしとるのは自覚済み。
せやけどこれは俺を本気で拒否らんスミレが悪いと思うんよね。
「うぜえ!髪がうぜえ!ひっつくな!バターでコーティングした柿投げるぞてめぇ!」
「痛いやんそんなん俺怪我してまうやん!」
「じゃあ離せー。」
「じゃあ言ってくれたらええやーん。」
グイグイと俺の顔を押しやるスミレと
負けじと身体にしがみつく俺。
男2人を支える椅子がさっきから悲鳴をあげとる気がするけど
そんなん気にしとったらスミレに剥がされる。
ん…?
何となく腹、初めて触った時よりふにふにしててやーらかい。
「…スミレ?」
「んだよ!」
「太った?」
「あ゛?」
…あ、あかん調子に乗りすぎた。
スミレはみるみる顔に筋を浮かべ、笑ってまう程鼻息を荒くした。
例えるなら顔中に怒りマークが湧き出とるゾウのような。
そんなリンゴみたいな顔しとらんと早よ課題したらええのに、ほんまかわええ。
…流石にこれは言えんけど。
言ったらそれこそ締め出されそうやし。
「…のやろ、全部言ってやっからよく聞け柿!」
スミレは持っていたペンをテーブルに叩きつけると、容赦無く俺の髪を引っ張った。
バター略さんといて欲しいわぁ。
いや、それも間違っとるんやけど。
「補習んなって!お前と過ごす時間減るのが嫌なんだよ!!
そ、それにお前…パンケーキしか美味いって言わねーから…そればっか食ってたせいで4キロ増えたんだよ!ばーかばーか!!」
スミレはリンゴというより完熟トマト並みに顔を真っ赤っかにして
プルプル震えながらそんなことを言う。
…何やねん、それ。
俺までトマトんなったらどうしてくれんねん。
「…ほんまに、スミレさんには敵いませんわぁ。」
気を抜くと今にもはしたなくニヤけてしまいそうで
顔が見られんようにスミレを後ろから抱きしめた。
スミレはというと、バカにしてんのかとか何とか
文句言ってプリプリしとるけど
そんなんどうでもよかった。
俺と一緒におる時間増やすために課題頑張って
俺の好きなもん作るせいで腹が柔らかくなっとるスミレ。
こんなに嬉しい事ある?
「あー、スミレここ間違っとんで。
何でマイナスやのに足しとんの?」
「は?…あ、まじだ。」
「理解はしとるんやろうけど凡ミス多いわぁ。
ココもxとy逆に入れとるんやない?」
「っ、かきつばた頭いいなお前!」
「いや普通やって。」
仕方ないから少しだけ
手伝ってやらん事もないで。
スミレとおる時間、俺やって少しでも多い方が嬉しいもん。
これでも一応先輩やからな、千年くらい。
…じじい呼ばわりされるんは目に見えとるから
スミレには絶対言わんけど。
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