俺の指を必死に咥えてくれたスミレは まだ始まってもないというのにもう疲れ切った顔をしとる。 俺自身、前戯なんかした事もなかったせいで もしかして痛かったかもとか 無理させてしまって負担をかけたかも、とか 気が気やなかった。 それに、応えようとしてくれとるスミレの気持ちが痛いほど伝わって、それが堪らなく嬉しくて、愛おしくて仕方なくて。 本音を言うと無理やり押し進めてしまいたい。 強制的に自分だけが快楽を得るセックスしかしてこんかったから、慣れない事をするんは自信がないし何より恥ずい。 でも相手はスミレやから ちゃんと今も俺の隣で生きてるスミレやから。 俺の持っとる最上級の優しさで包み込んでやらなあかんねや。 汗をかいとるスミレの服を脱がしてやって なんで俺だけ裸～とでも言いたそうな顔しとったから俺も一緒に脱いで 俺と違って質の硬い髪に指を通す。 耳に指が触れて、ビクンと跳ねるスミレが妙に色っぽい。 反応をくれんかった死体とは比べ物にならん幸せが俺を埋め尽くした。 「痛いとか…気持ちええとか、ちゃんと教えてな？スミレ。」 不安を拭い切れてないスミレの瞳から この先の事を考えて怖気づいとるのがよぉわかる。 わかりやすいなぁほんまに。 辞めるか聞いた時は意地んなって首振っとったから… 嫌ってわけやないと思うけど。 誰かの反応を見て頭を悩ませるのも 誰かに求められて愛情が込み上げるのも 全部スミレが初めてや。 形あるものであったり、経験であったりというのは これだけ生きとったらそら殆どの事を一通りはこなしている。 その代わり、心の中の…感情的な部分は日毎に枯れて、光など宿さなくなっていった。 そんな俺に差し込んだ一筋の輝き。 その存在に俺は全てを捧げ、俺の全てをもって守ると決めた。 なぁスミレ。 やっと通じたこの想いが やっと実ったこの愛が こうして形となって、今スミレと繋がれるやなんて想像もしんかった。 下心とかそんな直接的なもんやなくて 本当に、心から、嬉しくて満たされて スミレの事が大好きでどうしようもない。 「んっ、ぁあ゛ッ……い、ぁ…。」 先端を少し押し込んだだけで スミレは辛そうな声を上げた。 食い千切られそうに窮屈なそこは とてもやないけど俺のなんて迎え入れてくれる状況やない。 「っ大丈夫やで、スミレ。…力抜こな？」 スミレの頬を取って顔を寄せれば 歪んどった顔は心なしか穏やかになった。 無意識なんか知らんけど、ちゅー求めるみたいに夢中で突き出してくる唇がもう可愛くて堪らん。 勿論、応えてやるで。 ベロ付きでな？ 「んむっ？ん、ふぅ……んっ！」 キスすらした事なかったんやから ベロ入れた時のびっくり顔はそりゃもうめちゃくちゃ面白かった。 ほんの一瞬、擽ったそうにした所を舌で執拗に擦る。 そういう所って、いつの間にか性感帯になっとったりするんやって。 案の定身体を震わせて快感を覚え始めとるから大したもんや。 才能あるんやない？ そっちに気がとられとるうちに もう少しだけ俺の昂ぶりをナカへ押し進めた。 さっきより幾分か力は抜けとるけどそれでもかなりキツい。 そして一つ最大の問題点がある。 熱くて全力で吸い付いてくるそこに、正直俺が持たなそうなんよね。