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episode.36

普段使わない筋肉を使ったせいで、 月曜になっても下半身は悲鳴を上げていた。 変質者と同居から、恋人と同棲に変わったこれからは この痛みとも付き合っていかなきゃならないのかな。 日曜は、いつも通りの平和な一日を過ごした。 これまでと何が変わるってわけでも無く 急にがっつかれることも無く 一番心地よくて、普通で、当たり前になった生活。 かきつばたは今日も世界で一番格好良い。 「ただいまー。」 俺の声を聞いて玄関まで駆けつけてくれる姿は本当に奥さんみたい。 っていうと、多分がっつり下ネタ的な意味で 奥さんはスミレやとか言い出すから黙っとく。 「おかえりぃスミレ。」 前と違って俺の荷物を持つと重そうな顔をするけど、絶対に持ってくれるのは変わらない。 「スミレ?上がらんの?」 靴も脱がない俺を見て かきつばたはこてんと首を傾げた。 俺は忘れてねえからな。 この間、お前が言った事。 「お帰りのちゅーはねえのかよ。」 すると、かきつばたはニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。 「ただいまのちゅーしたらええやん?」 俺がかきつばたに勝負を挑んで勝てる日なんて来るんだろうか。 いや、来ないだろうな。 「ぜってーいつか青い柿ぶつけるからな!」 「俺柿でもええけどそれは多分カニや。そんでスミレは猿や。」 「うるせえな!」 白銀の艶めきを引き寄せて、“ただいまのちゅー”をする。 すぐかきつばたのペースに持っていかれるけど こうしてたまに素直になってやると、めちゃくちゃ幸せそうに笑ってくれるから たまになら、悪くないと思った。

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