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第1話-2
あまりに魅惑的な誘いに朝陽の心は射止められ、コロリ。
だって、おちんちんに飢えていたんだもの……。
だが、オモチャ屋でのゲイビスカウトなんて大丈夫だろうか。
そもそも安全なレーベルなのか、そして童貞処女の自分にセックスの演技など務まるのか。
期待と不安が入り交じっていたが、高本は良心的な男だった。
いきなり撮影は酷だからと、今日はこうして人気男優の撮影風景を見学させてもらっている。 おまけに、
「最初に言った通り、イケメンぞろいでしょ? そしてイケチンぞろい」
「イケチン」
高本が監督を務めるゲイビレーベル『チェリリオ』は、界隈で「抜けすぎる!」と人気沸騰中の新興レーベルだった。
ちなみに、同じ日にスカウトされたのは朝陽ひとりではない。
「わ、わー! わー! すっごい……!」
左隣で、耳まで真っ赤にして両手で顔を覆う大男がいる。指の隙間から、濡れ場をガン見している男の名は二葉 葵 。
190㎝を超える長身。服の上からでも分かる隆々とした筋肉を纏った、黒髪短髪の青年だ。一目で体育会系だと分かる。
朝陽と同期で入る新入りだと、スタジオの入り口で監督に紹介されたばかりだ。
人見知りな朝陽に、葵は「同期がいて安心した! よろしく。葵って呼んでね」と気さくな笑顔で手を差し伸べてくれた。
ああ、なんてコミュ力。尊敬だ。
それにしても、二葉葵、か……。
今日が初対面のはずだが、どこか見覚えがあるような……。
「ひゃっ……あうっ! あんっ……きもちい……きもひいよぉ……っ、んっんはぁっ」
「くっそ、キュウキュウ締めつけてきやがる! そんなにち●こが好きか?」
「はいぃ……っ、……んっんあっ、はひっ……ご主人しゃまの、おち●ぽぉ……だいしゅき……あひゃっ! らめっ、はぁっ! あっああんっやぁあっ……!」
嬌声と卑猥な水音が飛び交う撮影現場。
朝陽は声を潜めて尋ねた。
「これは、なんてタイトルなんですか?」
「『淫乱執事と巨根主人』。どう? 二人とも役にドンピシャでしょ」
まるでわが子を自慢する親のように鼻を高くする高本。
確かにふたりとも「ド」が100個つくレベルの男前で、主人と執事という風格にぴったりだ。
攻めている黒髪の青年は、ワイルドで精悍な顔立ちに、引き締まった身体。雄フェロモンが全身からあふれ出ている。
受けている金髪の青年は童話に出てくる王子様かと言わんばかりの美貌。しなやかに伸びた四肢は白磁のようにみずみずしい。今は身体中が汁まみれでぐちょぐちょであるが。
「おらっ! おらおらっ……出すぞっ」
「んあっ……! せーえきっ……ナカにちょうだいッ!」
「何俺に指図してるんだよ、淫乱執事は黙って腰振ってろ……っ」
「あひぃんっ! ごめんなさしゃッ……ごめんなしゃッ……あひゃっ! はひっ……はひぃッ!」
一層激しさを増すグラインドに金髪の男は髪を振り乱してよがる。
「あの黒髪の子は竜生 くん。金髪の子は光里 くん」
竜生という男は凛々しい顔立ちを不遜に歪めて、横暴な言葉を連発している。
……かなりのドSっぷりだ。あの巨根は素敵だが、朝陽はマゾではないから一緒にやっていけるか不安だ。
一方で光里という男は罵声を浴びるたびに快感が増すかのように気持ちよさそうだ。マゾの素質十分なようだ。
「出すぞ! ぜんぶ腹ん奥で呑み込めよ……ッ」
「はひっ! ひゃいっ! 一番奥で、呑ませてくだしゃいっ! ご主人しゃまの子種、奥にぃっ、あはぁっ、あんっ、ぁんっあぁっあひんっ、いっぱい、ひんっひっ、あひゃ~~~~~っ!」
一際でかい嬌声をあげ、光里は白濁をまき散らし、竜生は光里の最奥で果てた。
……壮絶だ。
「あ、勃っちゃったかい?」
「……えっ」
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