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第1話-6

 と竜生が立ち上がり、なんと葵の股間の前にしゃがみ込んだ。   「え!? 竜さんそんなっ! わっ!」  精悍な男(推定185㎝)が、同じく強健な男(190㎝)に、フェラチオを始めたのだ。 「ふ、すご。自分以外でこんなでかいの初めて見た。口に入りきらないな……」  先ほどは遠目で曖昧なサイズしか分からなかったが、竜生もスーパーアメリカンサイズなのだろう。    ゲイビ業界の股間事情、恐ろしや。    それにしても、逞しい竜生が懸命に巨根にしゃぶりついている光景は視覚的にやばい。   もちろん、自分の股間に美しい王子様がしゃぶりついてるのも、やばすぎる。 「んっ、はあっ……あうッ」 「ん……ふぅ、んんっ……朝陽くん、きもちいひ?」    モノを銜え込んだまま、あどけない表情で見上げられる。朝陽はコクコクと正直にうなずきながら、それでも光里の頭を押し返した。 「あのっ、もう出ちゃうから、離してくださいっ」    しかし、相手は『精液大好き男』だった。離れる気は毛頭ないらしく、バキュームを繰り広げてくる。    と、射精感に抗っていると同じくフェラチオを受けている葵とバチリと目が合ってしまった。    巨根を露わにし、息も絶え絶えに快感を得ている俺のアイドル……その表情は、あまりにも扇情的だった。   「んぅ……! あっぁ……!!」  葵と目が合ってすぐ、光里の口の中でイッてしまった。 「す、すすすみません!」 「あーおいしかった! ごちそうさまでした!」    朝陽の謝罪をよそに、光里はご満悦な顔でぺろりと口からこぼれた精液を舐めあげながら手を合わせてくる。 「精液……、おいしくないでしょう……?」 「え? おいしいよ?」 「………」    だめだ。変態だ。    隣では葵も竜生の口でイかされていた。  イキ顔もかっこいい。 「朝陽くん、どうだった? 僕のフェラチオ」 「あ……、めっっっ……ちゃくちゃ気持ちよかったです」 「あはは、それはよかった!」    あっけからんと笑われて、変態だけど陽気でキラキラした光里のことを好きになれそうな気がした。  するとその時、精液を摂取して満足した光里の視線が、葵に向く。  同時に、何か衝撃を受けたように目を見開いた。 「君……葵くんって、もしかして」  葵を知っているということは、光里も高校野球のファンだったのだろうか。  と思ったが、 「……っいや、なんでもない! とりあえず明日からよろしくね、朝陽ちゃん」  誤魔化すように、ちゅっと朝陽の頬にキスを落とす。 「……っ!」   突然のキスにのけぞる朝陽と、目を見開いてパイプ椅子をなぎ倒す葵。  なんで葵まで反応してんだ?  すると黙ってフェラチオ大会を見守っていた高本がパンパンと手を叩いた。 「いやあ、仲良くなってくれそうで安心したよ。新しい教育係、竜くんと光里くんに任せていいかい?」 「教育係?」    そろって首を傾げる朝陽と葵に、光里が説明を加えてくれる。 「ここではデビューする前に、先輩と組んで準備する期間があるんだよ。僕が入ったときは竜さんが教育係だった。それで次は僕が朝陽くんの係になるってことだよね?」 「その通り。朝陽くんは光里くんに、葵くんは竜くんに色々教えてもらってほしい。あ、ネコ同士タチ同士だから心配はないと思うけど、くれぐれもヤらないでね? 本番は童貞処女で挑んでほしいからさ」  い、いったいどんな「教育」をされてしまうのだろうか。  朝陽と葵は肩を並べてカチコチになりながら「よろしくお願いしますっ」と勢いよく頭を下げた。      永田朝陽、21歳。ゲイビ人生が、幕を開けたーー…。

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