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右手をゆるゆるとおろす。自身の中心はわずかに持ち上がりかけている。思い出すといつもこうだ。淫乱な身体になってしまったのはオメガの本能だろうか。
「來……」
ここにいない男の名を呼び、聖利は右手を筒状にし、中心をこすりはじめた。最初は柔く優しく、次第に根元から先端にかけて繰り返し上下に扱いていく。
耳の奥であの日の來が言う。
『しようぜ、聖利もしたいんだろ』
『おまえが飽きるまでしてやるから』
触れてほしい。來の大きな手で乱してほしい。
「あ、あっ」
亀頭を指で擦りあげる。雁首に引っかかる感触がたまらない。これが來の手ならいいのに。
「あん、あっ、ああっ」
達してしまいそうだ。シャワーのお湯を浴びながら、聖利は背を丸め浴室の壁に額をつけ、身を震わせる。
そのとき、シャワールームのドアが勢いよく開いた。
驚いて顔をあげる。そこにいたのは來だ。
「ら、い……」
言葉は返ってこなかった。
代わりにシャワーの中に飛び込んできた來が聖利の身体を抱き寄せる。降りそそぐ湯など構っている暇はないとばかりに強引に口づけられた。
「うっ、んんっ」
最初から奥深くまで差し入れられる舌は熱く、生物のようにうねって聖利を蹂躙する。内側がじんと滲むような感覚。いきり立ち、限界の近かったペニスが震え、キスだけでびゅくびゅくと白濁を巻き散らした。
「甘ったるい匂いさせやがって。鍵くらいかけろ、この馬鹿」
怒りながらも聖利の肌を指と舌でたどる來。耳朶を噛まれて聖利はびくんと身体を跳ね上げさせた。
「匂いなんか……! 抑制剤は効いてる……」
「じゃあ、なんで俺にはここがわかった? おまえの匂いをたどってここに来たんだけど?」
來が狂おしく唸り、聖利の首筋をべろりと舐め上げた。噛みついてしまいたいという情念が伝わってくる。吐精したばかりなのに、來の香りに反応して聖利の中心はすで硬く勃起していた。隠したいけれど、一糸まとわぬ状態では隠すことができない。
「聖利だって反応してる。欲しくて欲しくてたまらないって身体は言ってんじゃねえか」
「これは……!」
「誰のこと考えて抜いてた? なあ。聖利は誰を想像してするんだ? こんなに大きくして」
來の手が聖利の腹をたどり下腹部の柔らかな繁みに到達する。薄い毛の流れをなぞり、そのままペニスの先端に指先が触れた。
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