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「いい! そんなの!」
「俺にされたの、気持ちよかったんだろ? 思いだしてオカズにするくらい。もっとしてやる」
「だめ、駄目だ、來! ……あっ!」
來が身を屈め、聖利の胸の突起にむしゃぶりついた。そのままじゅくじゅくと舌と唇で刺激される。あの日のことが瞬時に蘇った。
「あっあっ、いや、それ、だめっ」
ヒートは来ていない。それなのに、來に触れられると身体中がおかしくなりそうなくらい気持ちがいい。バスルームの壁に押し付けられ、乳首を弄ばれる。やがて、來の右手がするりと背後に回った。腰をたどり、双丘を割る。まだ誰も触れたことのない蕾に指先が触れた。
「ふああっ!」
思わず声が漏れた。ほんの少し触れただけなのに、凄まじい快感が奔った。さらに内側がじわっと滲むように熱くなるのを感じる。
來の人差し指が縁のひだをなぞり、それからぐっと第一関節まで押し入ってきた。
「あっ、ああん!」
甲高く声を上げてしまい、慌てて唇をつぐむと、キスで塞がれた。舌を絡ませてキスをしながら、來の指は聖利の内側を探りだす。自分で触れたことすらないのに、そこは充分にやわらかく來の指を飲み込む。どころか、お湯ではなく濡れた感触を覚え始めた。
キスを中断し、來が耳元でささやいた。
「濡れてきてる」
「うそ……」
オメガの後孔は女性器のように愛液が溢れると聞いたことはある。しかし、自分の身にそれが起こっているなんて。
來がにいっと野蛮に笑った。それは意地悪なだけではない。愛おしそうな優しさも見える表情だ。
「後ろ、すげえいいところがあるらしい。探してやるよ」
「いや、來、もうやめて」
「こんなにひくついてんのにやめていいの?」
來が人差し指をずるんと引き抜く。一気に引き抜かれる感触に腰がくだけそうに感じながら、聖利は來にすがりついた。ああ、悔しいことに身体はもっと欲しがっている。
「來ぃ……」
切なくもらした声は哀願だ。來には伝わってしまうだろう。
來が心得たとばかりに聖利の身体を抱き締め、指を差し入れてきた。今度は中指と人差し指を同時に挿入するが、すんなり奥深くまで入る。
來の指を迎え入れ、身体は歓喜していた。気づけば指を動かしやすいように、両腕を來の首に回し、左足をあげて來の腰に絡めていた。
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