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 次の瞬間、聖利は枕元にあった授業用のタブレットを掴み、思い切り窓に向かって投げつけた。  バリンガシャンという激しい音が響き、窓ガラスが粉々に割れる。夜中だが、この音は間違いなく周囲に聞こえるだろう。叫ぶよりよほど効果的だ。  驚いた男たちが窓を見た瞬間に、一番近くにいた男の腹に思い切り前蹴りを見舞ってやった。そのまま走って部屋の外へ出る。廊下に出れば、すぐに他の部屋から誰か顔を出すだろうと思った。 「てめえ、何を!」  予想外だ。廊下にはさらにふたり添川の仲間がいる。おそらく見張り役だ。 「捕まえろ!」  室内から添川が叫ぶ。他の部屋からの助けを待つ猶予はない。六人がかりで部屋に連れ込まれては終わりだ。  聖利は、男ふたりの腕をかい潜って階段に走った。來の姿が脳裏をよぎる。しかし、五階まで逃げ延びることは難しいだろうし、來が部屋に戻っているかも確証がない。  ためらうことなく、踊り場までジャンプした。さらに一階までステップを飛ばして降りる。男たちが追いかけてくる。  騒ぎを聞きつけて、他の生徒が集合するまで追いかけっこだ。聖利が使っていた部屋で争った形跡があれば、高坂たちはすぐに動いてくれるだろう。また監視カメラのあるところを走れば、万が一連中に捕まってもその罪を立証できる。  頭では思うもののぞっとした。  添川は完全に常軌を逸している。手勢を連れて襲撃してくるなんて。自分の立場も無視して、レイプ目的で襲ってくるとは思わなかった。  寮の外へ飛び出して、校舎や体育館の方向へさらに走る。中庭方面は駄目だ。無人だし、助けが来ても見つけてもらいづらくなる。  追いすがってきた足の速いひとりを思い切り蹴り倒した。しかし、そのわずかな間で他の四人が追い付いてくる。掴まれた腕を振り払えないでいるうちにタックルのように飛びつかれ、低木の茂みに引き倒された。寮の横にあるプレハブの用具小屋の裏手に引きずり込まれる。大声をあげようとしたが、すぐに口をふさがれた。上にのしかかってきたのは添川だ。 「黙って俺の番になっていればよかったのに。よくも俺をコケにしてくれたな」  他の男たちが四肢を押さえる。まずい、これでは逃げることができない。

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