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「挿れるぞ」  欲しい。強くそう思った瞬間、來の先端が甘くとけた肉を押し分けた。 「う、ん。来て、來」  聖利の声に煽られ、勢いのまま來が最奥まで突き込んだ。 「うあ、ああああっ!」 「くっ……」  來のペニスがずっぽりおさまっている。來と繋がっている。たまらない快感と同時に嬉しくて涙が滲む。 「……聖利ん中あっつい」 「らいの、も、かたくて、あっつい」  視線が絡み、ふたりはキスを交わした。幸福と心地よさがないまぜになり、もうお互いしか見えない。  ゆるく來が腰を揺すりだす。 「あっ、あっ、らい、らいぃっ!」 「悪い、でも止まんねぇ」  聖利の骨盤を左右から掴み、來の抽送はどんどん激しくなっていく。擦りあげられ、突かれ、聖利は迸る嬌声を必死に抑えた。 「ふっ、ひう、う、あん、あ」 「痛くないか?」 「きもちい、來のきもちいよ」 「いいとこ、ここだろ?」  一度触れたところをきちんと覚えていて、來が的確にそのしこりを擦ってくる。頭がおかしくなりそうな快感が迸り、聖利は自分の唇を強く噛みしめた。 「ほら、唇噛むな」 「だって、そこ、良過ぎて声が」 「キスしてやろうな」  甘く唇を重ねて唾液を混ぜ合わせる。しかし、一度触れられた部分はどうしようもなく感覚過敏で、苦しいほどだ。  さらに聖利の腰をすくいあげ、來が圧し掛かってくる。深く最奥まで押し込まれ突き当りをえぐられた。 「いや、深いっ、らい、そこだめぇ!」  前立腺を刺激される良さとはまた違う。來の根元のふくらみが縁に引っかかり、快感を助長する。 「あっ、奥、だめ! 変になる、だめぇ!」  最奥は内臓を直に圧迫される感覚で、その強い刺激は倒錯した快楽だった。征服される暗い喜びだ。我慢できない嬌声が迸る。 「結腸の奥に……オメガの子宮があるって、聞いた。そこにぶちまけてやりたいな」  荒く息を吐きながら、來は夢中な瞳で見下ろしていた。ものすごく野蛮で艶やかだ。愛しい。今この瞬間、この男のものになっている。 「來、すき、來」 「俺も好きだ。奧で出していいか?」 「ん、いい、よ」  怖い。未知の感覚に恐怖と期待でおかしくなりそうだ。だけど、來と昇りつめたい。聖利はすがりつき、激しくなる律動を受け入れた。 「ふ、うあ、あ、ああ、あっ、來、來っ!」 「イキそう。出すぞ」 「あ、出して。來のいっぱい、ちょうだい! ああっ!」  視界が弾けたようになり、聖利はびゅくびゅくと激しく吐精した。スキン越しでも、身体の内に熱い奔流を感じる。 「わり、まだ出てる」  來は聖利をかき抱いたまま、射精の強い快楽に耐えている。番とのセックスで、アルファの射精は長いと聞いたことがあるが、確実に孕ませるためのものなのだろう。  まだ子は成せない。番にもなれない。それでも聖利は來の頭をかき抱き、ねだるように言った。 「來、首、噛んでほしい」 「聖利、でも」 「いつか、來の本当の番になりたい。だから、おまえのものだって予約の印をくれ」  自分で言って照れくさくて仕方ない。來が耳朶をはみささやいた。 「俺もしてる最中ずっと、噛みたいって思ってた」 「本当か?」 「俺の番だって、世界中のヤツに証明したいからな」  來が口を開け、柔らかな聖利の左の首筋に歯を立てる。じわっとした痛みすら快感だ。短く吐息をついた。最初の約束。いつか本当の番になるための誓い。 「來、僕幸せだ」 「馬鹿、俺もだ」  何度目かのキスは甘く、想い合っていた期間を埋めるには、まだまだ全然足りなかった。

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