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番外編-8

 食事を終え、身体と心をごまかすように少し課題をした。來も付き合ってテーブルについてくれる。それから順にシャワーを浴びた。  その時が近づいてくるのが、どうにも待ち遠しくて苦しい。  普段よりずっとドキドキするのは、誰にも遠慮なく抱き合えるという期待からだろうか。ヒート中のセックスへの期待だろうか。  もう何度も來と抱き合っているのに、初めてのときみたいに胸が高鳴る。 「お待たせ」  先にシャワーを浴び、ソファで読書をしていると、來がバスルームから出てきた。濡れ髪にどきりとする。いつも見ているのに。 「何か、飲む? 炭酸水とか」 「いい。……聖利」  來が言葉を切り、そっと目を伏せる。 「結構限界かも。おまえの甘い匂い、どんどん強くなっていってる」  どきりと心臓が跳ねた。期待はしている。だけど、そんなに変化があるものなのか。自分ではまったくわからない。 「抱きたい」  來が真っ直ぐにこちらを見た。聖利は立ち上がり、そっと両腕を広げた。おいで、の意味だ。  來が大股で駆け寄るように近づき、聖利を抱きすくめた。そのまま抱き上げられ、ベッドルームへ運ばれる。 「キス、しよう」 「ああ」  お互い、余裕なく唇にむしゃぶりつく。口を大きく開け、ねっとりと舌を絡ませ合い、強く吸う。唾液が蜜のように甘い。  キスを交わしながら、來が聖利のシルクのパジャマをするすると脱がしていく。あらわになる素肌を指先がたどる。 「ん、んん、來、そこ」 「くすぐったい?」 「なんか変な感じ」  胸の突起も耳朶もうなじも、いつも刺激されているのに、今日は指先がかすめるだけでびりんと電流が奔る。 「んう、あう、やあ」 「声、可愛いな。もっと聞かせて」 「あ、來、だめ」  來がつんと立ち上がった胸の突起にむしゃぶりついた。いっきに強く吸われ、びくんびくんと身体がわなないた。 「ふあ、あああっ!」  あられもない声が口から溢れ、慌てて手で押さえる。しかし、その手も來に外されてしまった。 「たっぷり啼かせるから。我慢すんなよ」

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