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番外編-10
力が入らない。しつこくねぶられるうち、奥からさらなる快感が押し寄せてくる。
「やあ! なんか、なんかきちゃう。だめ、らい、やだぁ!」
再びびゅくびゅくと弾ける感触を芯に感じる。また射精してしまったのだろうか。いや、違う。
「潮、吹いちゃったな」
下腹部から見上げる來の顔が意地悪い笑顔に染まっている。悪戯が成功した子どもみたいだ。
「う、うう。僕……こんな」
こんないやらしい身体になってしまったのか。
愕然とするより、自身のペニスがさらに勃起しはじめていることに動揺した。底なしの欲求に恐怖すら覚える。
「いいんだよ。聖利は俺のためにオメガになったんだろ。俺のためにヒートを起こしてるんだから。たくさん、エロくなってイキまくれよ」
「でも、こんなにはしたない僕は……」
「いやらしい聖利、すげえ好き」
目を細め、笑った來の表情は野生的で、そこには確かに情欲の炎が燃えていた。聖利の目にもきっと同じものがあるだろう。
本当だ。いやらしい恋人は、すごくセクシーで、もっともっと欲しくなる。
そうか、本能に任せていいのだ。來のために身体を作り変えた貪欲な自分は、來のためにすべてさらけ出していい。
「來、好き。大好き。いっぱいして」
両腕を広げると來が身体を預けてきた。ぎゅうっと抱き合うと幸福でとろけそうな心地がした。
「可愛い顔で煽るんだから参るな」
來がささやいて、枕元に用意しておいたスキンを着ける。それからあぐらをかくように座り、聖利の腕を引いた。
「跨って、腰落として」
所謂体面座位の格好だ。聖利はどくどく鳴り響く心臓と荒い呼吸のまま、そっと來の首に腕を回し、跨る。
おそるおそる腰を落としていくと、來の凶暴な怒張の先端がしとどに濡れた蕾に吸い付いた。
「もう、準備万端に濡れてる」
「お風呂で、少しほぐしたから」
それに射精するまで性的快感を高められると、自然と後ろは濡れてきてしまうのだ。來のペニスが欲しくてきゅんきゅんと収縮してしまう。
「ほら、自分で腰落としてみろ」
「あ、恥ずかしいよ」
「できるだろ。欲しいクセに」
煽られるままに腰を落とし、來を受け入れていく。ぬぷぬぷと音をたて、根元まで収まった熱く硬い怒張は、欲しくて欲しくてたまらなかったもの。肉壁をぎっちり満たしてくれる。
「あ、あ……ああ」
またすぐに達してしまいそうだ。聖利は身体をなるべく動かさないようにし、それが馴染んでいくのを待った。はふはふと荒く息を吐き、涙目で來を見やる。
そこで聖利は來の変化に気づいた。
來の様子がおかしい。
聖の背を支える手は異常に熱い。聖利以上に頬を紅潮させ、苦しげに呼吸している。
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