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第35話 満たされた心と体
何度激しく貫かれても、未だ達することを許されない。足をバタつかせ黒の腕に爪が食い込むくらい強く握った。
「も、イきた。ん、あ、おねが、ぁあ」
「っ、出すぞ。そしたらイかせてやる」
いよいよ黒が絶頂を迎えると思うと無意識に締め付けを強くした。背中にキスの嵐をお見舞いされ、押し付けるように二、三度腰を打ち付けると熱い飛沫が内側へ注ぎ込まれた。そしてようやく根元を握っていた手が離され、自らも達した。
「ハァ、ハァ。なんか激しかったね」
「三度目のサプライズだからな」
「え!?まさか盛ったのか」
「あぁ、そのまさかだ。まんまと酒を飲んでくれたな」
完全にしてやられた。見上げた表情は満足げで、サプライズが成功した達成感に満ち溢れていた。見つめていたら唇が迫ってきた。
「んん、黒。好き。大好き」
「私もお前が好きだ。腰が痛いな」
「あれだけたくさん振り乱したらね。それに黒もいい歳なんだし」
「まだアラサーだろ。年寄り扱いするな」
セックスの後のピロートークは幸せな時間だ。身も心も1つになり自然と口が緩む。釣られて笑った黒はやっと内側から塊を取り出した。柔らかくなったそれに突かれ続けたことを思い出して思わず嬌声が出てしまった。まるで行かないでと寂しがる子供のような寂しさを感じた。
「ん、ふっ、ン、っ」
「どうした。まだ突いて欲しかったのか」
「違う。ただ擦られ続けたから敏感になってただけ」
敏感になっていたのもそうだが内側に吐き出された精液が溢れて出て行ってしまうのを感じからでもある。それだけは黒に言わない方がいいので黙っておこう思う。
「軽い催淫効果を促す薬だったが、あそこまで激しくなれるとは自分でも驚いたな」
「お腹が裂けて突き出るんじゃないかと思った。それなのに逃げることも許してくれなかっただろ」
「気持ちよくてイき狂いそうだったから、白目剥く間抜けな顔が見れると思ったんだがな」
「そんなの見せたくない。アヘ顔ってやつだろ。絶対やだ」
間抜けな顔を一番見られたくないのに望まれていたとは思わなかった。黒の手を取り甲にキスを落とす。
「入れてすぐイった時の間抜けな声は面白かったがな」
「あ、あれは絶対薬のせいだから!あんな風になるなんて思わなかったんだ」
「そう怒るなよ。たまには刺激的なのもいいだろう」
「別に悪くはないけど、一方的に内情を知っていてやられるのは気にくわないから前もって言ってよ」
上体をあげて目を見て抗議すると頭を撫でられた。さらさらと優しい手つきは心地いい。目を細め満足そうに微笑む黒に鼻を舐められた。
「んん、やめろ」
「心地いいくせに素直になれ」
「黒にもしていい?」
「いつから許可制になったんだ」
俺が何をしても多分怒らない。それでも念のために聞いてみたが必要なかったようだ。
頭を優しく撫でる。髪に指を絡ませて遊んでいた頃が懐かしく感じられた。長髪でも短髪でも黒は男前だ。でも短髪の方が眼帯とよく似合っている。
しばらくこうしてお互いを甘やかした後、風呂に入れられて処理をされて床に就いた。
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