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「先輩、ど、どうして?」 「それはお互い様だろ」 「確かにそうですけど···」 「こんな偶然ってあるんだなー」 ふっと笑って、先輩は窓側の席に座った。 ースーツを着てるところから見ると出張かな 「卒業して以来だよなー」 そう言って、缶ビールを飲む横顔は少しだけほっそりしている気がした。 「そうですね···元気でしたか?」 「ふはっ他人行儀すぎるだろ」 ーくしゃっとした笑顔はあのときのままだ 「すみません」 「ま、久しぶりだからいいけど。純も元気そうでよかったよ。 ー僕のこと気にかけてくれるんだ 「純はどこで降りるの?」 「えっと···地元が米沢なので···」 「あーそうだった、そうだった!実は···俺も偶然米沢に出張なんだよね」 「えっ!?」 思わず口に入れていた氷が飛び出した。 「うわっ!びっくりさせんなよー。」 「す、すみません!」 「あーなんか新歓思い出したわ」 ーえ?初めて会ったときのこと覚えてる··· 「あの時はつまんなそうに氷食べててめちゃくちゃ印象悪かったわ」 「黒歴史なんでやめてくださいよー」 「ま、そのおかげか純のこと最初に覚えられたんだけど」 「はぁ···」 ー嬉しすぎて反応できない 「ほんと愛想ないやつー。せっかく久しぶりに会えたんだし、時間あったら飲みにでも行こう!駅近のホテル取ってるから」 「え、あ、はい、えーと···」 答えに困っていると、グッと顔を近づけて 「そんなに俺と会うの嫌か?」 ーそんな聞き方、ずるい··· 「嫌···じゃないです」 「決まりだな」 もう一本買ってあるから、と渡してくれた缶ビールは全然味がしなかった。 それから米沢に着くまで先輩は爆睡していた。代わりに、僕は眠気がどっかに行ってしまって寝顔をちらちら見ることしかできなかった。 ーせっかくなら写真撮ればよかった 「先輩、米沢着きましたよ!」 「う、うーん、ん?あーぁ」 大きなあくびをして、立ち上がった先輩は僕と同じように荷物置きに頭をぶつけた。 「ふふっ」 「純、今笑っただろ!」 「笑ってないですって!」 「顔がにやけてるぞ」 「恥ずかしいんで早く降りますよ!」 「はいはい」 「はいは1回ですよ」 「調子乗るなよー」 「すみません···」 地元に先輩がいるなんて、日曜と月曜が一気に来たみたいだ。

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