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「じゅんくーん、おままごと一緒にしよー!」 「うん!」 自分は他の男子と違うと気づいたのは保育園のときだった。男子に混じって鬼ごっこやサッカーをするより女子と遊ぶほうが楽しかった。戦隊モノには見向きもせず、もっぱら少女戦士ごっこに勤しんでいた。 小学校に入っても女友達のほうが圧倒的に多く、何人かの男子からはオカマだとか言われたりもしたが、僕が学級委員長を務めていて、勉強もスポーツもそれなりにできたこともあり、イジメられることはなかった。 ゲイだとはっきり確信したのは中学の時だ。2年生の夏に学年全体で福島にキャンプに行ったとき、川で泳ぐ時間があった。先生たちが川の中に入り、ロープを張って遊泳区域を作っていたのだが、Tシャツが濡れて透けて見える筋肉に釘付けになってしまった。今思えば、その時から年上が好きだったのかもしれない。 高校に入って周りがどんどんリア充になっていくのに焦りを感じて、初めてマッチングアプリを使ってみた。位置情報で近くにいる人がわかるものだったが、ただでさえ田舎で人が少ないのだから探すのは至難の業だった。上京しようと決めたのは出会いを求めて、というのが正直な理由だ。 それでも何とかアプリを通して、工業高校に通う1つ上の浩介に出会うことができた。僕の初恋の人でもあり、恋愛に臆病になってしまった原因でもある。 ーあーぁ、なんで今頃浩介の夢見るかなぁ 「夕飯できたよー!」 下からお母さんの声がした。 「はぁーい」 二度寝したい気持ちを何とかなだめて、ベッドから起き上がった。 ー先輩の誘いは断ろう 「土曜空いてません」とだけ打ったメッセージを送信した。

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