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夕飯を食べ終わり、部屋に戻ると先輩からの不在着信が10件入っていた。
ーうわ···怒らせちゃったかな···
急いで折り返すと
「断る理由を教えてくれ」
と不機嫌そうな声が聞こえた。
「すみません···家の用事があって···」
「ふーん、なんかその台詞、前も聞いた気がするけど」
ーん?そんなことあったっけ···
「ほら、去年のサークルの夏合宿のとき、実家に帰るから行けませんって言ってさ」
「あぁー···先輩よく覚えてますね」
「でも俺が来るって分かったら、急に参加することになって。実は俺のこと好きだったりしてー」
ーい、今なんて!?
「そ、そんなわけないじゃないですか!!」
思わず大声を出してしまった。
「そんなにムキになると本当みたいだろ」
「······」
「おーい、純、聞こえてるかー?」
「···とにかく土曜は空いてませんから!」
電源を切ってベッドに潜り込んだ。
ーゲイならまだしもノンケなんか···
「辛いだけだ」
こぼれた言葉は涙の味がした。
ーどうしたらいいんだ
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