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浩介の姿に驚きを隠せないまま駅に着いた。努はまだ着いていないようだった。 ー絶対見間違いだ··· しばらくして窓を叩く音が聞こえた。 ビクッとして見ると努がいたので鍵を開けた。 「迎えサンキュ。何だよ幽霊見たみたいな顔して」 「い、いや···何でもない」 乗り込むや否や顔を覗き込んできた。 「顔も青白いし、具合悪いんじゃねぇの?」 「大丈夫だって」 「そ。じゃ安全運転で頼むわ」 「了解」 家に着くとお母さんが玄関で待っていた。 「努くんいらっしゃい!ゆっくりしてってね」 「はい!ありがとうございます。これつまらないものですが」 そう言うと努は紙袋をお母さんに渡した。 「そんなのいいのに!ありがとね、わざわざ」 「いえいえ!お世話になります」 「こちらこそ宜しくね!純、部屋に案内してあげて」 自分の部屋に入るとベッドの隣に布団が敷いてあった。 「へーここが純の部屋かー」 「あんまりジロジロ見るなよ」 「何?エロ本とかあんの?」 「どうしてそうなるんだよ」 「見られて困るものランキング第1位だからな」 「何だそれ」 なんてことない会話で少しだけ浩介のことを忘れることができた。 夕飯はお母さんの言う通り、テーブルいっぱいに料理が並んでいた。 「誕生日でもこんなに出ないのに」 「余計なこと言わないで早く座りなさい」 「全部美味しそうですね!」 「遠慮せずにたくさん食べてね」 「はい!」 努の底なしの食欲で、食べきれないと思っていた料理がみるみるうちになくなっていった。 部屋に戻り、充電中のスマホを見ると先輩からメッセージが届いていた。店決まったら教えて、とだけ書かれていた。 「先輩から?」 風呂上がりで上半身裸の努が部屋に入ってきた。 「···うん。ってか服着ろよ」 「暑いんだから仕方ないだろー」 「エアコンつける?」 「うん、頼むわ。···そういえば俺を迎えにくるまでになんかあった?様子おかしかったし」 「あ···いや···」 「いや言いたくないならいいんだけどさ、話して楽になるなら聞くよ」 ー努になら話してみてもいいかな 「···駅に来る途中で元彼を見つけて···」 「まじか···それはキツイなー」 「今元彼って言ったんだけど」 「いや聞こえてるけど」 「···引かないの?」 「引くもなにも、ゲイとかそうじゃないとか食べ物の好き嫌いみたいなもんだろ」 「そんな簡単な話じゃ···」 「とにかくそんなことで純のこと嫌いになったりしないし」 「···うん」 「友達なんだからもっと頼れよ···な?」 「···うん、ありがとう」 ー努の優しさが温かくて心地よかった

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