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土曜−1−
ー大学の友達って誰だ?
純からのメッセージを見て不思議に思ったが、一緒に飲めることになって内心ホッとした。
明日も仕事だから早めに寝ようと横になったとき、電話が鳴った。
「もしもし?」
「もしもし、実?楓だよー」
「おー楓か!久しぶり」
「卒業以来だもんね!今、時間大丈夫?」
「うん、大丈夫だけどどうした?」
「今週の土日に東京行くんだけど、都合が合えばご飯でも行きたいなーと思ってさ」
楓は卒業後、地元の名古屋に戻って英会話スクールで働いている。
「そうなんだ。会いたいのは山々なんだけど、今出張中なんだよ」
「なーんだ、残念。どこ行ってるの?」
「山形の米沢市ってとこ」
「米沢って確か···峯岸くんの地元じゃなかったっけ?」
「よく覚えてるなー。さすが元幹事」
「記憶力すごいでしょ」
自信ありげにドヤ顔してる楓の顔が浮かんだ。
「たまたま新幹線で純に会ってさ、土曜に飲むことになったんだよ」
「えー!いいなぁ。そういえば後輩の中で下の名前で呼んでるの峯岸くんだけだよね」
「ん?そうだっけ?」
「そうそう、夏合宿の後から急に仲良くなってたし。なんか怪しい」
「怪しいってなんだよ」
「私の腐女子レーダーが反応してる」
「何だそれ、もう寝るから切るぞー」
「はいはい、峯岸くんに宜しく伝えといて」
「了解」
「じゃあまたねー」
ー無意識に純のこと特別扱いしてるってことか?
社会人1年目で覚えることも多く、気づけばあっという間に土曜になっていた。
店は純が小さい頃から通っているとんかつ屋で、とんかつはもちろん、もつ煮込みや冷奴といった酒の肴も美味しいらしい。地図を見る限り駅からそんなに遠くなさそうなので、待ち合わせの18時までホテルでのんびりすることにした。
そろそろ準備しようかと思ったとき、純から電話がかかってきた。
「堀内先輩もう向かってますか?」
「いや、まだ準備してるとこ」
「なら車で迎えに行くので、10分くらいしたら下に降りてきてもらっていいですか?」
「うん、了解」
「じゃあ、また後で」
「はいよ」
「あ···あの···」
「ん、どうした?」
「この間は電話一方的に切ってすみませんでした」
「あーちょっとムカついたけど気にすんな」
「ムカついたんだったら気にします···」
「冗談だよ、何とも思ってないから大丈夫」
「なら、よかったです。じゃあ切りますね」
ー楽しみだな
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