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何を着ようか迷ってる時、先輩からメッセージが届いた。あと10分くらいで着くらしい。急いで着替えて外に出ると、粉雪が舞っていた。
「雪降ってますね」
「さっき電話したときくらいから降り始めたよ」
「雪見ると落ち着きます」
「米沢も結構降るのか?」
「降りますよー。小学生の時はスキーウェア来て登校してました」
「へー純が小さいときの写真見てみたいなー」
「恥ずかしいのでやめてください···」
「ケチ」
そう言って先輩は口を尖らせた。
「···先輩」
「ん?」
「実家に写真見に来ますか?年末年始に帰省するんで、先輩のことちゃんと親に紹介したいです」
信号が赤になり先輩が僕の手を握った。
「うん。一緒に帰ろう」
ケーキ屋はどこも人があふれていた。
「何ケーキにします?」
「んー···チーズもいいしチョコもいいし、ショートケーキも捨てがたいなー」
食い入るようにケーキを見て悩む姿は子供みたいで、思わず笑ってしまった。
「これにする!」
「じゃあ並びましょう」
予約していたケーキを受け取りに来る人もいて、自分たちの番が来るのに結構な時間がかかった。
「ケーキも買えたし、そろそろ帰るか?」
「そうですね。他に見るものないですし」
「了解」
家に着いて夕飯の準備を始めた。
「何作るんだ?」
先輩が後ろから抱きついてきた。感じる体温が冷えた体を暖かくする。
「危ないんで座っててください」
「未来の奥さんが何作るか見たいんだよー」
「だめです。お楽しみは後で」
「ほーい」
そう言って頬にキスされた。
ー意外と甘えたがりなんだよなぁ
「お待たせしました」
昨日から仕込んでおいたカレーをテーブルの上に置いた。
「おー美味そう!」
「おかわりもあるんで」
「準備してくれてありがとう」
「先輩が主役なんで当然です。改めてお誕生日おめでとうございます!」
「年取るのは嬉しくないけど、こうやって祝ってもらうのはいいもんだな」
「喜んでもらえてよかったです。さぁ食べましょう!」
先輩は気に入ったのか、2回おかわりした。ケーキも食べ終わり、先輩にプレゼントを渡した。
「可愛いネクタイピンだなー。毎日つけて出勤しようかな」
「最初はネクタイにしようと思ったんですけど、種類が多すぎて」
「純からもらえるなら何でも嬉しいよ。あ、俺からもプレゼント」
鞄から取り出した白い箱には水色のリボンがかけられていた。
「開けてもいいですか?」
箱を開けると指輪が入っていた。驚いて先輩を見ると静かに頷いた。
「俺と出会ってくれてありがとう」
そう言うと指輪を右手の薬指にはめてくれた。
「綺麗です」
「うん、よく似合ってる。これで誰も純に近づかないな」
「先輩だけで手一杯です」
先輩の肩に頭を乗せた。
「これからも宜しくな」
「こちらこそ。先輩···じゃなくて実さん」
恥ずかしすぎてお互い顔を赤らめた。
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