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休みが終わり東京に戻ると、実さんから風邪を引いたと連絡がきた。仕事は休んで家で寝ているらしい。
熱冷まシートやスポーツドリンク、食べ物を買い込んで実さんの家に向かった。部屋に入るとベッドで寝ている姿が見えた。
「実さん大丈夫ですか?」
呼吸が浅く、かなり辛そうだった。
「純、わざわざありがとな···」
「気にしないでください」
熱を測ると38.7℃あった。
「薬は飲みましたか?」
「うん。汗かいたから着替えたい···」
「分かりました。着替え持ってきますね」
着替えとタオルを持ってきて実さんが起き上がっていた。
「だめですよ、寝てなきゃ」
「自分でやるから···」
「いいから寝ててください」
ボタンを一つ一つ外して汗ばむ肌にタオルを滑らせる。下半身も同じように汗を拭いた。
「気持ちいいですか?」
実さんは静かに頷いた。
「腰浮かせますか?」
下着も脱がせると熱を帯びた塊が膨らんでいた。
それを口に含んで熱を逃がすように転がす。
「···純···」
実さんの吐息が激しくなり、口の中が幸せで満たされた。
「ごめんなさい、勝手なことして···」
「···気にするな」
着替えが終わると実さんは眠りについた。
いつの間にか寝てしまった。実さんは僕の髪を触っていた。
「すみません···寝ちゃってました」
「俺もさっき起きたから」
「少しはよくなりましたか?」
「だいぶな」
おでこに手を当てると熱は下がったようだ。
「よかったです。お粥作るんで待っててください」
「うん、ありがとう」
キッチンは調理器具が最小限で自炊をしないことが一目瞭然だった。
「熱いので気をつけてください」
「食べさせてくれる?」
そう言うと口を開いた。
冷ましてから実さんの口へと運ぶ。
「美味い」
「しっかり食べてください」
食欲はあるようで、時間をかけながら全部食べきった。
「純が来てくれてよかった」
「ちゃんと休んで早く元気になってください」
「帰るのか?」
「いてほしいですか?」
「うん。いてほしい」
「分かりました。食器片付けてタオル替えてきますね」
「純、ありがとう」
「恋人なら当然です」
「頼もしいな」
「任せてください」
朝になると実さんはすっかり元気になっていた。
「仕事行くんですか?」
「午後からな」
「じゃあわがまま聞いてください」
「喜んで」
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