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実さんの部屋には中高時代にとったトロフィーがいくつも並んでいた。
「実さん、本当に強かったんですね」
「疑ってたのか?」
「違いますよ」
その隣にはテニス部時代の写真も並んでいた。
「わー実さん若い!」
「今より10年くらい前だからなー」
「中学校の時は背低かったんですね」
「そうそう。高校で20cm伸びたから」
「伸びすぎです。少しください」
「純はこのままがいーの」
今日は実さん家に泊まって明日帰ることになった。
お風呂上がりに茜ちゃんがアイスをくれた。
「冬に食べるアイスって美味しいですよねー」
「うん、美味しい」
「純さんはお兄ちゃんのどこが好きですか?」
急な質問にスプーンを落としそうになった。
「うーん···全部かな」
「何それ、つまんない」
「えーひどいなぁ」
「純をいじめるなよ」
実さんが茜ちゃんのおでこにデコピンした。
「痛ーい!」
「子供はもう寝なさーい」
「言われなくてもお邪魔虫は消えますよーだ」
2人のやりとりに思わず笑ってしまった。
実さん家のベッドはクイーンサイズで、2人で横になってもまだ余裕があった。
「広くていいですね!」
「新居のも同じサイズにしようか」
興奮気味に首を縦に振った。
「決まりだな」
そう言うと実さんは僕のTシャツを脱がした。
温かい舌が丁寧に、そしてゆっくりと固くなった粒を味わう。
「み、実さん···」
「声我慢して」
舌がどんどん下りていき、一番見られたくないところをほぐしていく。指が一本、二本と増えていく。
「深呼吸して」
呼吸に合わせて実さんの指が動く。
初めての感覚に脳が麻痺していく。
「痛くない?」
出し方を忘れたみたいに声が出ない。
「入れるよ」
次の瞬間、パズルのピースがはまるみたいに実さんと一つになった。暗くて表情はよく見えないが、吐息が荒くなってるのが分かる。
「実さん···」
「ん?」
「もっと···奥に来て」
「分かった」
実さんの強さも弱さも痛みも想いを全て受け入れたような気がして、幸せが溢れ出した。
「こんなに幸せでいいんでしょうか」
「もっと幸せになろう」
「はい」
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