41 / 61

−2−

旅館は写真で見るより豪華で素敵だった。 長い廊下を通って部屋に案内されると、窓から夕日に染まる山が一望でき、涼しい風が部屋全体を吹き抜けていた。 部屋は和洋室になっていて、寝室にはぐっすり眠れそうな広いベッドがあった。夕食は部屋で食べることになっているので、それまでゆっくりすることにした。 「いい景色だなー」 「連れてきてくれてありがとうございます」 景色を眺めている実さんに後ろから抱きついた。 「ご飯食べたら露天風呂に入ろう」 「はい」 荷物を置いて、部屋に置いてある浴衣に着替えた。 実さんは黒、僕は青の浴衣にした。 「純、似合ってる」 「実さんは似合いすぎです」 見慣れない姿になかなか目を合わせられない。 「こっち向いて」 「···かっこよすぎて見れません」 「似合ってるなら見てほしいんだけどなー」 顔を上げると、はだけた浴衣から素肌が見える。 「浴衣はだけてますよ」 直そうとして近付くと、キツく抱き締められた。 「作戦成功」 「もしかしてわざとですか?」 「うん。ギュってしたくて」 「言ってくれたらするのに」 「純、浴衣姿可愛すぎ」 そう言って、実さんは浴衣の上から僕の弱いとこに優しく触れていく。 「み、実さん···」 漏れる息を実さんの唇が塞ぐ。 もう我慢できない、と思ったとき実さんが耳元で囁いた。 「続きはまた後で」 持て余した熱が冷めるまで時間がかかった。 夕食の時間になると、仲居さんが一品ずつ料理を運んできた。山の幸から海の幸まで種類が豊富で、どれも目に鮮やかで美味しかった。 「約束守ってくれましたね」 実さんは最初の1杯だけビールを飲んで、後はノンアルコールにしていた。 「奥さんの言うことは絶対だからな」 そう言うと浴衣の帯を緩め始めた。 「早くしないと全部脱ぐぞ」 少しずつ露わになる肌が赤みを帯びている。 それを見ていてもたってもいられず、グラスに残った氷を口に含んで実さんにキスをした。 「露天風呂行こうか」 「はい」 露天風呂は檜造りで、部屋からも見えた山を臨めるようになっていた。 「純、脱がせて」 実さんの浴衣を一枚一枚剥がしていく。 何回見ても見惚れてしまう体だ。 「実さん、脱がせてください」 優しく、ゆっくりと、焦らされながら剥がされる。 さっき冷めたはずの熱が戻ってきた。

ともだちにシェアしよう!