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第9話
side悠
好きな人はいないと否定したはいいものの、やはりあの店の彼のことが脳裏をちらつく。
(んー、なんでだろ…)
「悠ー、大丈夫ー?」
「え、あ、うん…ちょっとぼーっとしてた」
「えー、誰思い浮かべてたのー?」
ニヤニヤしながら千世がきいてくる。
(楽しんでるな、こんにゃろー)
「千世こそ誰かいないの?」
「俺は…て、俺に振るなよ…つか、誤魔化したな!」
「なんのことー」
千世の言葉を受け流し、逆に千世に話題をふってみるとちょっと慌てて否定された。
これは今度飲んでるときに詳しく聞く必要があるなと、思いながら他に話題をうつした。
それから、他愛のない話をして千世が夜から予定があるらしく、19時頃に千世の家を出た。
(これからどうしようかなぁ…)
今日は外で食べようかと思っていたので、どの店に行くか迷っていた。
(昨日のお店、行こうかな…)
今日の動画を撮るきっかけとなった昨日の美味しかった料理と、彼の笑顔を思い出し『sound Tree』へと足を向けた。
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