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第10話
side悠
(来てしまった…)
自分の足の赴くままに歩いていると『sound Tree』の前に来ていた。
昨日の今日だしなと思いながらもドアに手をかけようすると…
「あ…」
手をかけようとしたドアには『close』と書かれた板が下がっていた。
(あー、閉まってた…)
ガクッと肩を落とし帰るかと踵を返そうとすると
「あれ、お客さん?」
「へ…」
いきなり知らない人から声をかけられた。
「え、いや、あの…」
これから帰ろうと思ってたし客じゃないよな、でも入ろうと思ってたから客か?と考えていたら、返答がしどろもどろになってしまった。
「あー、closeになってるのか」
声をかけてきたのは長身で優しそうな雰囲気の男性で、ドアにかかった『close』と書かれた板を見てそう言った。
「多分空いてると思うからおいで」
「え…」
「お客さんでしょ?」
男性は優しく微笑むと、お店のドアに手をかけた。
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