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第13話
side悠
(ん、美味しい…)
「そういえば、なんでノンアルコールなんですか?お酒苦手とか?」
「え、あー…俺未成年なんですよね」
「……」
とノンアルコールを注文した理由を言うと2人は目を見開いた。
(まぁ、お酒は好きなんだけどねー。いい子は20歳になって飲みましょう…てか、そんなに驚くことかな?)
「え、ほんとに20歳いってないんですか?」
「はい。まぁ、自分でも老けてる自覚はあるんですけどね」
梓佐に20歳でないのかと確認されるが、慧杜はなにか思案しているようだった。
もしかして『sound Tree』の夜は未成年禁止かなと不安になってきた。
「慧杜さん…?」
「え、あぁ、そんな不安そうな顔しなくて大丈夫ですよ」
「え…」
そう慧杜に言われて驚いた。
周りの人にはいつも冷静だとか言われて、相当仲のいい人でないと俺が不安がっているのが分からないからだ。
「うちはどの年齢の方でも大歓迎です。…ただ、とても凄いなと」
「凄い?」
「はい。とても落ち着いていますし、相手を不快にさせるような言動をしない」
「あの、相手を不快にさせるって…」
慧杜の言葉に引っ掛かりを感じて聞いてみる。
「偏見かもしれないけど今の若い子ってすぐに思ってることを言っている気がしてね…あと、食事をするお店で下品な話を大声でしたりとか…」
「…えっと…」
「はっきり思ってること言っていいですよ」
なんて言えばいいのか、はっきり言ってもいいのか迷っていると梓佐さんから言われた。
「その…俺だって例に漏れていないと思うのですが…」
「「……そういうとこですよ…」」
2人そろって突っ込まれ、どう反応すれば良いのか迷ってしまう。
「今の子達は自分は違うと言いやすいんですよ。自分もそうかもしれないと考えられるのは、とても難しいことだと俺は思います」
「なんか、心理学的ですね」
「慧杜は大学で心理学の勉強をしていたからですかね」
「そうなんですね…」
心理学ときいてあの時の、小学校のときの嫌な記憶が頭をよぎる。
歳上と上手く話せず、同級生と話すことも苦手であったため、どうすれば上手く人と付き合えるのか心理学を独学で勉強していた。
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