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大阪LOVERS【12】
やたらフワフワとしたベッドへと勇輝の体を横たえ、急いでバスローブと下着を脱ぐ。
いつでもどんな時も...それこそ『万年発情期』とまで揶揄される俺達が、いまだ揃って半勃ち状態だっていうのがなんだか情けなくて可笑しい。
この部屋に入ってからの1時間ちょっと...ほんと俺達、何をしていたんだろう。
「勇輝、下触らせて」
「別にいいよ、気にしなくて大丈夫。さっきまでので十分解れてるはずだし......」
「違う違う、解すんじゃないよ。俺は俺の手で、ちゃんと勇輝の体を愛してあげたいの」
「じゃあさ...俺にも充彦の、舐めさせてよ。奉仕じゃなくて...愛させて」
俺は頷くと勇輝の頭の方へと下腹部を寄せた。
シックスナインの格好...でもこの呼び方はあんまり好きじゃない。
できれば陰陽とか言ってもらえないものだろうか。
宗教的に問題があるのかもしれないけれど、俺としてはなんとなくその方がしっくりくる。
絶対的な対としての存在...みたいな?
ま、俺達の関係だと陰陽じゃなくて陽陽になっちゃうか......
「何、考え事?」
「なんで?」
「今、一瞬口許が弛んだから......」
「ああ...まあね。俺、やっぱりこうやって二人でお互いをちゃんと気持ちよくし合ってる関係が好きだなぁって思った」
「......よく言うよ。俺に奉仕させて、ザーメン顔にぶちまけるくらい興奮してたくせに」
「そう言う勇輝も、俺にぶっかけられて放心状態だったじゃん」
クスクスと笑いながら、それぞれ手の中のペニスを優しく緩やかに動かす。
どれほど機械を動かそうと押し付けようと半端にしか反応を見せなかったそこは、俺の手の中でみるみる大きく硬く育っていた。
「勇輝にしゃぶってもらってる時はね...確かに結構興奮してたと思う。勇輝のはずなのになんかいつもとは違う、妙に背徳的な色気があって、別の人間にフェラされてるような錯覚に陥ってた」
「え~? それは充彦に浮気願望があると判断してよろしいか?」
「良くない良くない、全然良くない。願望は無いよ、マジで。でもさ、勇輝にしか反応しないはずの俺のチンポが、勇輝であって勇輝でない人間に勃起してるっていう所に、ちょっと混乱して興奮したんだと思う」
ペニスをゆるりと扱きながら、アナルへとそっと触れる。
そこは見てわかるほど、俺の指を誘うように大きく収縮を繰り返していた。
「もうすごいね。さっきもこんなだった?」
「んもう...そんなまじまじ見ながら冷静に言うなよ。でも、さっきは今みたいに自分でもわかるくらいギュウギュウはしてなかった...かな」
「自分でもわかるんだ? まあこんだけパクパクしてればわかるか」
手元に置いたローションのボトルから中身をドロリと手のひらに落とし、それをしっかりと指全体に広げながら窄まりの周囲にも馴染ませていく。
ピクピクとペニスを震わせながら、勇輝は嬉しそうに俺のモノに舌を這わせた。
無理に咥えようとはせず根元から先端へと舐め上げていき、啄むように唇で竿を食む。
「やっぱさ...それのが好きだわ」
「ん?」
「喉の奥まで突き上げて、涙浮かべてるのも涎止まらないのも無視して腰ガンガン振って...確かに興奮したし、『このままドロドロに汚したい』なんて思っちゃったりもしたよ。でも、興奮したってだけだった。そこには満足感も無かったし、勿論幸せでもなくてさ......」
待ち望んでいる場所に、ゆっくりと指先を押し込んでいく。
『大丈夫』の言葉通り、勇輝のそこは大した抵抗もなく容易く俺の中指を根元まで旨そうに飲み込んだ。
「満足できない俺が悪いのかとか考えたんだ。もっと何かを、もっと今以上の何かをって...満足を求めてエスカレートしちゃったってのかな...せっかくいつもと違う状況なんだから、いつもと違う楽しみ方をしなくちゃいけないんだって思い込もうとしてたのかもしんない」
「俺はね、女装してる俺に興奮してる充彦見て、なんか俺が俺に嫉妬してるって言うのかな...すごいモヤモヤっとしてるんだけど、その事に変に昂ってた。もっと充彦を興奮させたいって必死な自分と、そんな自分をちょっと冷静に俯瞰で見てる自分がいるみたいな、そこはほんとすげえ変な感じ。『それで俺は誰なんだ?』とかなったんだ...充彦と同じで、混乱してるからこそ興奮してたのかも。でも、バイブでオナってみろって言われたらなんか...急に俯瞰で見てたはずの俺が戻ってきちゃって、さーっと冷静になったんだ」
「うん、あのM字はエロくて良かったんだけどね...アナニーはマジでやり過ぎた、ごめん。でもやっぱりちょっと興味あったんだ...ほんとに俺でしか感じないのかって事に」
中に収めた中指をゆっくりと引き抜き、人差し指を添えて中へと戻していく。
やはりそこに、俺を拒むような力が加わる事はなかった。
指が奥へと進むにつれ、勇輝の背中が僅かにしなる。
「気持ち良さそう」
「う...ん、いい...それだけで...イッちゃいそうなくらい......」
ふとある場面が頭の中にフラッシュバックのように甦る。
こんな姿は何度でも見てきたはずなのに......
目の前で腰を揺らしながら小さく震える姿は、初めて肌を合わせたあの日そのものに思えた。
「充彦に会うまでは...セックスでこんなに気持ち良くなった事なんて...無かった...よ?」
「ああ、そうだったな...確かにそう言ってた」
「これからも、俺の中には...充彦以外入れないし、充彦以外いらないん...だよ?」
「それは当たり前。俺ね、なんか色々気付いた。これからはビデオの設定がどうでも、バイブもなんも使わない。つか...悪い。もう、ビデオ設定のごっこ遊びはたぶんできないわ。勇輝の仕事に多少影響するかもしんないけどさ...俺は、俺としてしか勇輝を愛せない」
俺は指を抜き、枕元の小さなプラスチックケースからコンドームを取り出した。
袋を破り装着を試みる......
「無理でしょ、こんなとこ置いてんのなんてMサイズなのに......」
「自販機にLなんてあったかな...ホットジェル付きとかならあったけど」
「......いらないよ...ゴムいらない」
「オッケー。できるだけ中に出さないように気いつける」
勇輝の手が俺の背中に、脚が腰の後ろへと回された。
「顔射はやだよ? つかさ、中でイッてもいいのに...」
「非常に魅力的なお誘いですけどね、東京帰るのに、もしポンポンが痛い痛いになったら困るのはお前だろ? 今日はちゃんと腹に出すよ。その分向こう帰ったら、ズブズブに溢れっぱなしになるくらい、体ん中ザーメンだらけにしたげるから」
「それはそれでやだよぉ」
背中に回された勇輝の右手を取り、しっかりと指を絡める。
既にローションでしっとりと濡れた入り口にペニスの先端を押し付ければ、俺の下で幸せそうに勇輝が笑みを浮かべて繋いだ手を強く握った。
「俺ね...充彦がいてくれたらそれで幸せだよ?」
いくらか抵抗を感じながらも、ゆっくりとすべてを勇輝の体内へと押し込んでいく。
「充彦...俺ね...俺...仕事......」
珍しく最中に雄弁な勇輝が気にはなったけれど、絞り引き込むような動きの粘膜に逆らえず、俺は中程で一旦動きを止めるとそこから一気に最奥を貫いた。
それだけで腰骨から脳天まで走る電流のような快感。
少しの休みも置かず、思うまま勇輝の体を大きく激しく揺さぶる。
「...っあぁ...そんな、いきなり......」
「悪い...でもちょっと今は...我慢できそうにない......」
「ダメ...ダ...メ...んあっ...イッちゃ...う...もうイッちゃう......」
機械にどれほど嬲られようと快感を高められなかった勇輝は、ほんの数回の強い突き上げだけで溜まったままだった白濁を呆気なく吐き出した。
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