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緊急配信!? クイーン・ビー・エクスプレス【2】
「そしたらまず、この写真について説明してもらおうか? 結構メールも来てたみたいやで、『みっちゃん、サイテー』とか」
「これがみっちゃんなのは間違いないわけですよね?」
「そう、俺。間違いないよ」
「これが、ラブホに入って行ってる写真やっていうのも......」
「うん、間違いない、行った。3時間だったかどうかまでは覚えてないけどね...もう少しいたような気がする」
「ホテル入っただけ? それとも、やることやったん?」
「ん? したよ? 当たり前じゃない、その為に行ったんだし。つかさ、なんかもうこの流れダルくないか?」
「えーっ!? そもそも、面白いから記者会見みたいな質疑応答形式にしたいって言い出したの、自分じゃないですかぁ」
「うーん...でもなぁ、なんかもう飽きた」
「早っ! 飽きたって、何? 付き合ってた俺ら、アホみたいやん。そしたらもう、ゲストさんに入ってもらう?」
「はい、今日はですね、みっちゃんの為に特別ゲストをお呼びしました。では、どうぞ! 噂のナニワ美女です!」
「...こんにちは......」
「...プッ...デカッ......」
「うるせえよ!」
「もうっ...女の子がそんな言葉遣いしたらあかんねんで? なんぼデカい言うても、少しはおしとやかに......」
「ああ、しつこいっ! お前らマジで鬱陶しいわ! つか、充彦まで笑ってんな!」
「クククッ...だってさぁ...お前がナニワ美女って...プハッ......」
「はい、というわけで、皆さんもうおわかりですね? 本日のゲスト、『ナニワ美女』こと...勇輝くんで~す」
「どうも、勇輝です。あの...このたびはですね、私共の性癖の為にちょっとだけ世間をお騒がせすることになってしまいまして...本当に申し訳ありませんでした」
「え? これって性癖なん?」
「あ、いや...性癖とは...違うか」
「性癖っていうより、性的好奇心だったんだよな」
「そうなんだよぉ。まさか俺らごときを週刊誌が追っかけてるなんて思ってなかったしね」
「そしたら、一応何でこんな事になったんかだけ説明してよ。ファンの人とか、ほんまにショック受けてたみたいやし」
「まずね、大阪のイベントの時、『どんなコスプレエッチしてみたいか』って質問に、俺答えなかったじゃない?」
「ああ、そうやったね。なんやったっけな...『近々する予定やから、したらエクスプレスで報告する』とかって...これがそうなん?」
「ていうか、あの質問の時には、イベント終わりで直行するつもりだったんですか!?」
「質問の段階っていうか、実は前の日の夜からずっと考えてたの。ほら、俺らが大阪で用意してもらった部屋ってツインだったじゃん?」
「あのホテル、ダブル無かったからね~。俺エッチする気マンマンだったのにさぁ、さすがにこのガタイの男が二人、シングルで絡み合うとか無理だろ? まあ、それでも致しちゃった奴等もいたけど~」
「俺らの事は今関係ないでしょ!」
「別にお前らだなんて名前は出してませんけど~?」
「はいはい、話が進まないからいつまでも遊んでんなってば。そのホテルでイベントの為にムダ毛処理とかしてて、二人でカメラ回し合いながら『やっぱエッチしたいよね』『近くにホテルあるんだから、行けるようなら行っちゃう?』って話になったの」
「いや、そこで...普通なりますか?」
「俺らはなるんだよ! ほら、男同士だとさ、入れてくんないホテルもあるって言うじゃない? それでもいけるのかなぁって俺が言ったら、勇輝が『イイ事考えた!』って...ね?」
「そのイイ事ってのが...勇輝くんの女装? エッチしたいだけで、えらい思いきってんなぁ。ていうか、それやったら俺に聞いてくれたら男同士でも入れるホテル教えたのに」
「いやいや、勿論ホテルに入る為ってのも理由の一つではあるけど、男の娘の姿でエッチするって事にこそ興味があったんだよね......」
「女装エッチ...ですか?」
「そう。女の格好した俺に充彦はどんな反応すんのかなぁって。引かれたらどうしようなんて事も考えたんだけど、逆にノリノリだったらそれはそれで複雑なんだろうなぁとか」
「それで勇輝さんが先に打ち上げ会場抜け出して、わざわざコッソリ着替えにホテルに戻った?」
「そう。実は俺、なんも聞かされてなかったからさ、いきなり勇輝消えちゃってビックリしたんだけど、すぐに時間と場所の指示が来て......」
「あとは、この週刊誌の記事の通り。手繋いでホテル入って、それからちょこちょこっとエッチな遊びを楽しんでから宿舎に戻っただけなんだよね」
「さっきも言ってたけど、まさか俺らを狙うカメラマンがいるなんて思ってなかったからね。明け方でまだ暗くて目立たないからって二人してご機嫌で手ギュッてしながら帰ってきたら...こんな事になりました。本当にごめんなさい」
「いやまあ、別に悪い事してるわけちゃうやん? これがもしほんまに浮気してるとかやったら、さすがに俺らも本気でぶちギレると思うけど」
「勇輝さんの女装を『モデル体型の長身の美女』なんて勝手に勘違いしたのは、このカメラマンさんですしねぇ。いやでも、これモデル体型って言いますか? どこをどう見たってアスリートとしか...まあ、美女には見えない事も無いですけど」
「イベントの時も、体型さえ上手い事ごまかしたら、最初のうちはみんな女の子やと思うてたからね。暗いし、間違えてもしゃあないんちゃう?」
「イベント当日は色々なマスコミ呼んでたし、取材ついでに狙ってみるか?って人がいる可能性については考えるべきだった。そこの腋の甘さはほんと、マジで反省してます」
「俺も。イベントがあんまり楽しくて、自分の中にすごい昂ってる部分あったんだよね。ちょっと冷静さを失ってたと思う。ファンの人が送ってくれたメールも読ませてもらったんだけど、さっきこいつらが言ってたような怒りのメールって、実は殆ど無かったんだ。みんな心配しながらも、『みっちゃんを信じてます』『二人は大丈夫ですよね?』なんて内容で、嬉しいやら申し訳ないやら...いくら万年発情期とはいえ、ちゃんと時と場所は選ばないと色んな人に迷惑と心配をかけちゃうんだなぁと改めて実感しました。本当にごめんなさい」
「はい、これがあの写真の真相でした。俺らはこの写真見た瞬間に勇輝さんだってわかったんで爆笑したんですけど......」
「事務所はエライ事になってたみたいやね。二人一組でブッキングされてたスケジュールとかも、一部変わってもうたらしいし」
「そうなんだよぉ...もう、本当にすいませんでした。あのですね、俺ら別れるつもりも無いし、当然『ビジネスゲイ』なんて物でもありませんので、どうかこれからもよろしくお願いします」
「じゃあ、この週刊誌についての真相がわかったところで、次のコーナーでは念願の『男の娘エッチ』を楽しんだ二人に、イベントでの公約通り感想その他を聞かせてもらいたいと思いま~す」
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