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俺、今から浮気します【6】
お互いに唇を舐め合い、舌を激しく絡める。
ジュッと音がするほどにそれをすすり、求めるように舌を伸ばせば、充彦はそれを口内に招き入れ先を軽く噛みながらチュウと強く吸った。
充彦に触れていれば、そして充彦に触れられれば自然と高まる欲と熱。
もっと深く合わさりたくて、充彦と一つになりたくて、何度も角度を変えて更に二人の間の隙間を狭めていく。
呼吸を整えようと唇を離せば口の端から溢れ滴る雫を舌が掬い、そしてまたすぐに痛いほど強く唇を吸われた。
「ふぅっ...ん...っ...」
塞がれた口からではなく、鼻から甘い息が漏れていく。
体を巡る酸素が薄くなっているのか、ただひたすらに気持ちいいのか、俺の体はピクピクと勝手に小さく震えた。
首の後ろを押さえつける手はそのままに、もう片方の手が俺の肩から背中の中心を滑り、ゆったりと柔くしつこくケツを撫で回す。
ここに至ってようやく俺は我に帰った。
今度は前の方への進攻を企んでいたらしい手の甲をギュッとつねる。
「痛っ。なんだよぉ、お前も結構喜んでたくせにぃ」
「もうキスのお手本は終わり!」
「うーん...なんならさ、この続きもお手本見せるだけで良くね?」
「こっからはコイツの体で直接経験させないと意味ねぇの! だから今はこれで終わり!」
「...チェッ、チンコ勃ててるくせにぃ...」
ブツブツ言いながらもさほど気にはしていないのか、充彦はいたって穏やかな様子で元いた場所へと戻っていく。
改めてカメラを構えると、『オッケーだよ』と声をかけてくれた。
俺は瑠威に目を遣る。
その瑠威はちょっと惚けたような、ぼんやりとした顔で俺を見ていた。
「どう? 見てて感じた?」
「...わ...かんね...」
「わかんね...か。うん、いいか? 口の中とか舌ってな、ちゃ~んと性感帯なんだぞ。お互いの粘膜を丁寧に愛撫しあえば、それだけ気持ちも体も昂って敏感になる」
瑠威の手を取り、俺のペニスに触れさせる。
一瞬引こうとしたその手を押さつければ、諦めたようにそこから力を抜いた。
「俺はさ、充彦とキスしてたらすぐにこうなる。もっと欲しい、もっと激しく求めて欲しいって。気持ちよくて体がどんどん熱くなって、幸せ過ぎて胸が苦しくなるんだ...」
ゆっくりと瑠威に顔を近づけ、その高い鼻の頭にチュッと口付けた。
「ちょっとベロ、出してみ?」
瑠威は大人しく舌を伸ばす。
押さえつけられるように俺のモノにただ触れていただけの手は、手持ちぶさただったのか、そこを軽く握り不器用ながらユルユルと動きを見せ始めた。
瑠威のシャープな顔のラインを指先でゆっくりとなぞり、懸命に伸ばされた舌の先を俺の舌でチロチロと擽ってみた。
その厚めの舌をジュルジュルと音をさせて飲み込み、まるでフェラでもしているように吸い上げる。
口の中で舌の裏側をなぞれば、唇の間からは熱い息が漏れ始めた。
今度は俺の舌を瑠威の口の中に押し込む。
すると瑠威は、拙いながらも俺の舌に自分の物を絡め始めた。
自分なりに何を求められているのかを考え、俺の真似をしてるつもりらしい。
褒めてやるように頭を撫で頬に指を滑らせれば、瑠威も俺の頬に手を添え、その口づけ自体を深いものにしてくる。
少しは要領を掴んできたのか、瑠威の舌は次第にスムーズに俺の口内に出入りできるようになってきた。
お互いの激しく絡み合う舌で混ぜ合わされた唾液が、クチュクチュと淫猥な音をたてる。
そっと瑠威のチンポに手を伸ばすと、ついさっきまで可哀想なほどに縮こまっていたそこは立派に鎌首をもたげていた。
もうそろそろいいだろうと、ゆっくり絡まった舌をほどいていく。
「どう?」
「あの...えっと...ちょっと気持ち良かった...かも...」
「そっか? うん、なら良かった。そっちのビデオでの絡みだと、なかなかこんなにキスだけに時間かけたりってしないのかもしんないけど、今後本気で女相手のAVに移りたいと思ってんなら、ちゃんとこうやって相手感じさせられるようになれよ。お前が今キスでチンポ勃たせてるみたいに、女の子はキスでも濡れるんだからな」
そっと瑠威の肩を押す。
俺の意図を汲んだのか、瑠威は黙って体を横にした。
脅しの効果か、それともキスの威力か、さっきまであれほど悪態をついていた跳ね返りの子猫ちゃんは、今やすっかり大人しい優等生だ。
横たわり、未だ僅かに不安そうに俺を見上げる瑠威の端正な顔からはトゲが取れ、少し儚げにも思える空気を漂わせる。
途端にその全身がまるで匂い立つような色気を醸しだし、驚いた俺はチラッと充彦の方を見た。
「勇輝...お前、えらい面白いの連れてきたな...」
「充彦もやっぱり思った? 俺も今正直ビックリしてる...」
ゲイビだろうがAVだろうが、テクニックと協調性さえちゃんと身につければコイツは大化けする。
間違いない...コイツは誰もが見惚れるような男になる。
心の深い所が不思議な感覚に震えた。
今からの俺次第で、コイツを芋虫からサナギに、サナギから蝶に羽化させてやれるんじゃないのか...そう考えると、性的な部分とはまた少し違う興奮が沸き上がってくる。
かつて俺の体を拓いてきた人達も...もしかしたらこんな気持ちを抱いてきたのだろうか。
だからこそみんなあれほど大切に俺を愛し、そして愛されてくれたんじゃないのか。
事を性急に進めることのないように落ち着かなければと、俺は一度大きく息を吐いた。
性的にもそれ以外の部分でも、ちょっと気持ちが昂りすぎだ...
本当のセックスを教えてやろう。
瑠威に...ちゃんとした快感を教えてやろう。
「瑠威...膝立てて足を大きく開いて」
お前なら出来るだろう?と笑いかければ、瑠威は俺から視線を逸らす事なくそれに従う。
その口許には微かに笑みが浮かんで見えたのは...気のせいだったろうか。
俺はそんな瑠威をまた褒めるように頭を撫で、傍らのプラスチックケースを引き寄せると、そこからローションのボトルを取り出した。
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