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俺、今から浮気します【11】
「大丈夫? 痛くね?」
目を潤ませてハフハフと不規則な呼吸を続けている瑠威にそっと声をかけてみる。
俺の言葉に瑠威は、泣きそうな癖にちょっと無理矢理笑みを作って見せた。
「全然こんなん...痛いうちに...入んねえ...し......」
強がりなのはわかっているけれど、精一杯笑ってみせようとする瑠威の姿がやけに可愛く思える。
充彦も同じだったようで、髪を額を頬を撫でる指の動きはますます優しくなった。
それが心地よいのか、瑠威の体からは更に無駄な力が抜けていく。
亀頭がどうにか潜りこめた事で、そこから先は案外容易にズブズブと飲み込まれていった。
勿論、息を激しく乱しながらも体の力を抜かなければと瑠威がちゃんと『意識』できていたおかげでもある。
「一先ず、第一段階はクリアな。今全部入ったよ」
「...んあっ...ぜ...んぶ...? カリだけじゃ...なくて...?」
「そう、全部。奥の方でピクピクしてるだろ、俺の超絶可愛いカメちゃん」
「バ...バカじゃ...ねえの...」
瑠威の手を取り、俺達を繋いでいる場所に触れさせる。
「ほら...な? 全部入ってんだろ?」
「あぁ...ほんと...だぁ......」
それを自分の指先で理解した瞬間、瑠威の目からはポロリと大きな涙が落ちた。
どこか傷でも付けてしまったかと些か焦る俺に充彦は『大丈夫』と笑いかけ、瑠威の涙を親指で拭った。
「ビックリしてるだけだよなぁ。痛くも辛くもなかったんだもんなぁ。ほんとよく頑張った」
充彦の言葉に、瑠威はコクンと頷く。
「入った...入ったぁ...辛くない...気分も...悪くない...」
ポロポロと、充彦の指が拭った分だけ涙が溢れてきた。
こんな事で感動するとか、ほんと今までどんな仕事させられてきたんだよ...呆れてそんな言葉を吐きたくなる。
けれど考えてみれば、少し生意気で綺麗なこの瑠威が無理矢理組み敷かれ、快感を得られないまま悲鳴を上げるという姿は、普段自分には無いと思っている嗜虐心を擽られないわけではない。
実際、こうして子供っぽい挑発に見事に乗り、高飛車な物言いに煽られた結果が今の状況なわけで。
平素『大人しい』と言われる俺ですら、手荒に扱う事に僅かでも興奮したのだ。
元々サディスティックな嗜好の強い人間であれば、瑠威のようなタイプが傷つけられ涙を流しているようなビデオは、その秘めた欲求をひどく満足させる物なんだろう。
「もうしばらくはこのままでいるからな...」
根元にもう一度ローションを足し、上から瑠威の目を覗き込む。
「少し落ち着いてきたら、ケツの中、ゆっくり意識してみ? 俺のがどれくらいの大きさでどんな形で、どんな風にお前の体を拓いてて、んでどこまで届いてるのか」
素直に頷くと、瑠威はゆるやかな呼吸を繰り返しながら自分の腹に手を置いた。
俺を包み込む熱い粘膜が、ビクビクとうねるような不規則な動きを見せ始める。
「あぁっ、すごい...ここまで...来てる......」
トロリと蕩けたような目を俺に向け、うっとりと臍の下辺りを撫でる様子に、不覚にもちょっとそそられた。
「お前のその顔、いいよ...すげえ可愛がって、めちゃくちゃに狂わせたくなる...」
「勇輝さん...勇輝さん...狂わせて...いっぱい...可愛がって......」
次の刺激を求めるように俺の方に手が伸ばされる。
その腕に誘われゆっくりと体を倒すと、俺は瑠威の唇を貪った。
さっきまでの拙い口づけがまるっきり嘘のように、ヌメヌメと舌が唇を割って入ってくる。
それにしっかりと俺の舌も絡めて先を強く啜ってやれば瑠威の体内がウネウネと複雑な動きを見せ、俺のぺニスをギュウギュウと締め付けた。
急いで顔を離して体を起こすと、また複雑な表情をした充彦に目を移す。
「ヤバい...」
「......何が?」
「教えてやるとかなんとか言ったけど、ちょっとそれどころじゃないかも。俺たぶん今から、本気のセックスすると思う」
「でしょうな。さっきの瑠威の顔見たら、そんな気はしてたよ...ったく。まだまだ不馴れな体なんだから、気持ちは込めていいけど、あんまり激しくすんなよ。あと...瑠威満足させたら、当然次は俺のお仕置きだから。覚悟できてる?」
お仕置きなんてのは、ここに瑠威を連れてきた時から覚悟はしてる。
充彦に申し訳ない気持ちだって勿論持っている。
だけど今は、腕の中で徐々に艶を増している瑠威を最高にイヤらしい顔にしてやりたい。
いや、俺自身が最高にイヤらしい顔を見たい。
「わかってるって。たっぷり後でサービスします」
「約束だからな」
「...充彦、ほんとごめんな?」
「いいから謝るな。心配しなくてもマジで怒ってないから。実は俺も、お前に抱かれる事でコイツがどこまで変わるのかすげえ興味あるし、実際普段のお前の現場見てるのと気持ちはたいして変わらないよ。相手役にチンコ付いてるってだけ。それにさ、勇輝が男相手に本気のセックスするんだって考えたら...嫉妬と興奮で、俺のチンコ爆発しちゃうかも」
「...後で俺が使生んだから、今は爆発させんなよ」
充彦と一度口づけを交わすと、二人して瑠威の顔を見つめる。
「瑠威...お前の体がさっきからずっと俺を誘ってくれてるから、ちょっと本気出すわ」
「勇輝はほんとエロいから、目ぇ開けてちゃんとその姿見とくんだぞ。見てるだけで頭沸騰しそうなくらい興奮するから。何より、これからのお前の勉強にもなる」
戸惑いながらも期待を隠せないといった目で俺と充彦の間でキョロキョロと視線を動かす瑠威。
俺と充彦は、瑠威の左右の頬にそれぞれ唇を押し当てた。
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