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俺、今から浮気します【12】
瑠威の腰の下に噛ませた毛布を抜き、代わりに俺の膝をそこに差し入れる。
「はっ...あぁん...」
中で先端の当たる場所が変わったのか、その口からは微かに甘い息が溢れた。
俺はまだ動かないまま、瑠威の顔をまじまじと見つめる。
視線の意味を図りかねた瑠威は、惚けたような顔で少しだけ首を傾けた。
「ゴーグルマン...つうんだっけ? ああいう専門の男優さんとかガチゲイのスタッフなんかが相手の時には簡単じゃないだろうけどな、お前みたいに単体で出てる、素人同然のノンケのモデルが相手の時だったらさ...お前が少し気を付けるだけでずいぶん楽になるんだぞ?」
「...えっ...な、に...?」
「今から試してやるから、ちょっとだけ我慢しろよ」
瑠威の脚を肩に掛け、反り返った俺のチンポの先端で腹側の僅かな痼を狙うようにして強く押し上げた。
途端に蕩けそうだったはずの瑠威の顔がクシャッと歪み、爪が食い込むほどに俺の腕を掴んでくる。
「大丈夫だから落ち着け! こんな風に普段ヤられてんだろ? 違うか? 今お前が一番苦手な場所に当たってる...間違いないな?」
瑠威は言葉も出せず、体を強張らせたままコクコクと頷く。
俺は一旦腰を引き、一気に汗を吹き出した瑠威の頭を撫でながら息が整うのを待った。
「今の、わざとだからな。お前が嫌なのわかっててやった、悪い...たださ、ああいう突き方したり、あそこばっかりバイブ押し付けてくるような相手役、いるだろ?」
「い...る...吐き気がして...ザーメン...だけじゃ...なくて...ションベン...まで...押し出されそうで......」
喉が激しく上下し、ひどく唇が乾くのかしきりにそこを舐めている。
充彦が冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってくると自分で少し口に含み、そっと瑠威の唇に合わせた。
ゆっくりと水を流し込んでいるのか、さっきまでとは違い、喉は小さく規則的に動く。
「少し落ち着いた?」
瑠威は自信無さげに曖昧に笑う。
「今からな、もう一回おんなじトコ突くから。お前は、自分の嫌なトコに当たってると思ったら、感じてるフリでも嫌がってるフリでもいいから腰を少しだけ動かしてそのポイントずらせ。わかるか?」
「...んなこと...できる......?」
「うん、できるよ。俺、やってたもん。素人男優ごときが夢中で腰振ってる最中にお前がこっそりポイントずらしにかかったところで、そいつは絶対気づかないって。そもそもな、そんな奴は相手の事も考えないでむやみやたらと中を突き上げてるだけだろ。そのうちの何回かが偶然まともに前立腺に当たってただけだと思うんだよ。そのせいで体がだんだんと強張ってきて、そのうち挿入って行為自体が辛くなたんじゃないかな。だいたいお前は、別に中全部がダメなわけじゃなくて...」
少し意識して、前立腺を軽く掠めるようにしながらその奥を突く。
案の定瑠威は、クンと喉を鳴らしながら軽く背を仰け反らせた。
「前立腺の周りは当たってもかすっても平気だし、その奥まで突いてやればこうやって感じる事もできる。だからな、タイミング計りながら上手く体を少しだけ動かして、自分が苦手じゃないポイントに誘導してやるんだ。中の粘膜擦られる感覚自体は『気持ちいい』って思えるようになってきてんだから、たとえ相手役がお前のイイ所探してやるだけのテクニック無くても、嫌な所は自分で逃げられるってだけで今までよりは楽なはずだぞ」
さっきよりは少しだけ力を加減し、また前立腺を狙って突いてやる。
一瞬瑠威の眉間に深い皺が寄ったが、俺の言葉を自分なりに実践しようとしているのか、僅かに腰の角度を変え、ケツに力を入れてきた。
抵抗せずその加えられた力に従ってやれば、俺のモノを奥深くへと飲み込もうとするように粘膜が不規則な蠢動を始める。
さっきと同じように腰を動かしてみても、今度は瑠威の顔が歪む事は無かった。
それどころか、意識して俺のモノを締め付けてしまった事で新たな快感を生んでしまったらしい。
「あっ...あぁっ...ん......」
「いきなりかよ...瑠威。お前...上出来過ぎ」
本気で驚いた。
飼い慣らしてみれば、なんと従順で淫らな体だ。
ちゃんと教えてやればこうして自分で快感を拾い上げていくこともできるし、それにつれて何とも言えない色気が増していく。
この部屋に入り、俺に体を拓かれてからそれほどの時間も経っていないというのにだ。
こんなに綺麗でイヤらしい瑠威に気づこうとすらしなかった制作会社の無能ぶりに、腹立たしさすら覚える。
しかしこれからは、さすがにどんなバカばかりの会社であっても、この瑠威の変化は察知するだろう。
タチ役専門の男優にかかれば、いくら瑠威が体を少々捩ったところで前立腺への直接的な刺激を避ける事は難しい。
ただし、今の瑠威を見れば、攻め方も撮り方もまったく変わってくるはずだ。
嫌がり苦しむ生意気な瑠威を見せるのではなく、嫌がりながらも欲が抑えられなくなる、艶かしい瑠威を見せる物に。
少しでも快感を得られるようになれば、これからは体や精神的な負担が減るだろう。
もうあんな作り物の『俺様』でいる必要もなくなる。
瑠威自身の『嫌だけど続けている』という考え方も、おそらく変わってくるはずだ。
その上で、これからゲイビでの自分を極めていくならそれもいいし、別の道に...もし本当にAVの世界に進みたいと願うなら、その為のお膳立てに動くのはやぶさかではない。
だって、最後までペットの面倒をみるのは飼い主の努めだろ?
「なぁ瑠威...お前さ、なんなら俺らんとこ...来る?」
「あっ...なに...勇輝さん...あぁん...わかんない...わかんないよ...お願い..勇輝さん...キスしたい...キス...して...」
今は細かい話は後にした方が良さそうだ。
ようやく感じる事を覚え、更にその快感を求める貪欲さを覚えたこの体を満足させてやろう。
「お前が気持ちよくなれる深いとこ...死ぬほど突いてやるよ...好きなだけ感じていいからな」
右脚を肩に乗せ、左脚は真っ直ぐに伸ばさせる。
その左脚を跨いで瑠威の体を少しだけ横を向かせると、俺は全身が跳ね上がりそうなほどの勢いで最奥目掛けて強く腰を打ち付けた。
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