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似た者同士【10】

周囲が少し明るくなった気配に、ゆっくりと目を開ける。 きっちりと閉めたつもりだったけれどカーテンには僅かに隙間があり、部屋の中にはその隙間から強い光が射し込んでいた。 ぼちぼち起きないといけない時間だろうか。 何やらイイ香りがしているような気もする。 「勇輝...おはよ」 俺の胸に額を預けたままで丸まっている姿が愛しい。 綺麗な体、綺麗な顔...真っ白な部屋の真っ白なベッドの上がよく似合う。 その首の下に腕を通し、頭を撫でながらさらに強く自分の方へと抱き寄せた。 ......と、不意に乳首が生温い感触に包まれる。 寝惚けているのかとしばらく様子を窺っていたもののその感触が止まる気配はなく、今度は軽く歯まで立てられた。 「ああっ、起きてるならちゃんと挨拶しろよぉ」 「ん? ご挨拶ね、はいは~い」 胸元から顔を上げた勇輝は、悪戯っ子そのもののように丸い瞳をキラキラさせている。 それ以上何も言わずニッと笑うと、胸から腹筋、臍へと舌を這わせだした。 「こらこら、何をやって...」 お互い、眠る前にそれだけは身に付けたボクサーパンツの穿き口まで辿り着くと、いきなりそれをペロ~ンと下ろしてしまう。 「やあ、おはよう」 『おはよう!』と言い返すように、ピョンと跳ね上がる元気な俺の愚息。 朝の生理現象だと言いたいところではあるけれど、すぐそばまで来ている勇輝の顔に、まるで『遊んで、遊んで』と喜んでいるみたいにピクピクと震えている。 自分の持ち物ながら、なかなか情けない...どんだけスケベなんだ、俺。 けれど、やらかした張本人はそれがたいそう嬉しかったらしい。 なんの言葉も前触れもなく、いきなりその先端を口に含んできた。 ...いやまあ、ここで『舐めていい?』『しゃぶっていい?』と訊かれたところで、『はい、どうぞ』としか答えられないとは思うけど。 俺をからかってるのか、ただ単にそういう気分なのか、今日の勇輝はディープスロートはせずに舌先でチロチロと擽るように舐めてきた。 高められているような、焦らされているような、ジワジワと温い快感がせり上がってくる。 一方的に弄ばれてるだけってのもシャクで、俺は勇輝のケツをペチと軽く叩いた。 言いたい事がわかったらしい勇輝は、俺のチンポを握りしめたままでニジニジと顔の方に腰を寄せてくる。 まどろっこしくなってきて、その腰に腕を回すと強引に引き寄せた。 俺がされているのと同じようにパンツのゴムを前の方だけずり下げると、すっかりピンピンに反り返ったモノが現れる。 「いやぁ、今日も朝からエッチだねぇ」 「違~う。それは朝勃ちだから」 「んじゃ、てっぺんが湿ってんのはお漏らしでもしちゃったか?」 「充彦のバ~カ」 そもそも自分から仕掛けておいて、バカはないだろ、バカは。 さすがにちょっとムッときて、もうすっかりギンギンで、タラタラ蜜を垂らしている先端をパクンと咥えると、一気にジュジュッと吸い上げてやった。 途端に勇輝の『ちょっとエッチな顔』が、本気のドエロモードへと変わってくる。 俺のチンポに顔をすり寄せ、すがり付くようにしながら、それでもそれを舐める事は止めない。 まるで、そこに唾液を纏わせようとしているように。 ならばと、勇輝の後孔をそっと中指で押してみる。 昨日の名残かそれともその先を望んでいるからなのか、入り口は思っている以上に柔らかく、簡単に俺の指先を飲み込んでしまった。 そのまま中を大きく擦りながら、チンポをくわえる唇に力を入れる。 口の中には勇輝の垂らす蜜の味が広がり、濃くなった。 勇輝の動きも、俺の動きも、どんどん激しくなっていく。 そろそろ俺のもベタベタドロドロヌルヌルだろう。 もう余裕も無いし、我慢もできない。 「勇輝......」 チンポから口を離し、中を抉る指を増やしながら名前を呼ぶ。 「充彦ぉ...」 竿を扱く手の速度を早めながら、勇輝も甘えた声を出した。 「ほら、そのままおいで...」 俺の言葉に、勇輝が俺のモノをしっかりと握りそこへと跨がってきた。 ゆっくりと腰を落とせば、先端がジュプとめり込んでいく。 「あのぉ...お取り込み中申し訳ないんですけどぉ、もういい加減メシ食いませんか?」 突然の呼び掛けに二人揃って声の方を向くと、怒っているような呆れているような、はたまた照れているような少し赤い顔で腕を組んだ航生がドアに凭れていた。

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