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クイーン・ビー・エクスプレス 第7回【2】
「それじゃあね、あたさんからの質問。あ、この人あれだ、大阪のイベントで『みっちゃんLOVE』のアピールすごかった人」
「おおっ、覚えてる覚えてる。質問ありがとうございまーす」
「質問はちゃんと4人にだね。えっとね、『二人で海外に行くなら、どこでどんなバケーションを過ごしたいですか?』だって。航生は?」
「そこ、俺からですか!? いや、俺あんまり海外とか興味も無いし知識も全然無いんですよね...困ったな......」
「んじゃさ、先に慎吾くん答えてあげたら? 航生と行くなら、どこで何したい?」
「俺も基本は日本大好き人間やからなぁ...あ、一つあった! イタリア行きたい、イタリア!」
「イタリアぁ!? なんかすっごい普通過ぎて意外なんだけど......」
「あれだろ、本場のジェラート食いたいとか、ヴェスパに二人乗りしたいとか、パスタだのピッツァだの腹壊すくらい食いたいとか......」
「あのねぇ、どんだけ俺の事ミーハーやと思うてんの? まあ、確かにヘーゼルナッツとかピスタチオのジェラートは食べたいけど。ちゃうねんて...カプリ島やっけ? 俺、青の洞窟行ってみたいねん」
「青の洞窟? へぇ...そりゃまたどうして?」
「ちょっと前に航生くんの持ってる写真集見てたらそこの写真があってん。白い光と洞窟の影、その中でゆらゆら揺れてる青い水面見てたらね、『ああ、ここで航生くんの写真撮ったら似合いそうやなぁ』ってめっちゃ思うてん。想像しただけで泣きそうなくらい感動してさ、いつか二人で行って写真撮りたいなぁって」
「なんか、バカンスって感じじゃないなぁ......」
「結局写真撮りたいんだ? 撮られる仕事してるのに?」
「......俺の為だけにエッロい顔してもらうん。ほんでその写真は誰にも見せへんの、俺の宝物にするから」
「ふふっ、本人達が楽しんでりゃ、それもまあ...ちゃんとバカンスか」
「じゃ、慎吾はイタリアで食べて食べて食べてちょこっと記念撮影しに行きたいとして、航生は? どっか思い浮かんだ?」
「えっと...カナダ...ですね。イエローナイフでしたっけ? あそこで、慎吾さんでも飲める甘くて美味しいアイスヴァイン楽しんで、それで...二人でオーロラ見てみたいかなぁって思いました。慎吾さんて結構感動屋さんだし、オーロラ見られたら幸せで泣いちゃうんじゃないかなぁって。そんな可愛い慎吾さん見ながら、手をギュッて繋ぎたいと思ったんです」
「お前、気持ち悪いくらいロマンチストだな」
「適度にロマンチストなんです」
「でもあれってさ、運のモンなんだろ? もし見られなかったらどうすんの? 慎吾だったらドン引きしそうじゃない?」
「失礼やなぁ。航生くんが俺の為になんかしてくれる事に引くとかあれへんわ」
「見られるまで何日でも滞在できるくらい、日数も費用も余裕持って行きますよ、その時は。俺が慎吾さんをガッカリさせるわけが無いじゃないですか。でもね、俺達だったら...きっと初日に見られると思います。二人だと奇跡起こせる気がしませんか?」
「......航生くん...うん、航生くんと一緒やったら、オーロラでもなんでもちゃんと見られると思う。だって、航生くんと俺やもんな!」
「......コイツら、俺達をはるかに上回るバカップルだな」
「地球の磁場もカナダの天候も、いつでも俺達の味方だぁ!ってか?」
「でもなぁ、コイツら確かにその辺悪運強そうな気はすんだよなぁ。天気でも味方に付けそうだわ」
「またバカにしてますね? 俺はいいけど、慎吾さんまでバカにしたらさすがに怒りますよ!」
「いやいや、航生くん。確かに俺らだいぶ頭の悪い事言うてるから、そこはしゃあない。まあ、からかいたくなるくらいラブラブな俺らが羨ましいんやと思うたら、別にかめへんやん?」
「......まあ、慎吾さんがそう言うならいいですけど。みっちゃんと勇輝さんは? 二人で行くなら、どこでどんなバケーションしたいんですか?」
「俺は勇輝といられりゃどこでもいいんだけどね...けど今は、シンガポールかな」
「シンガポール? まあ、飯とかはめっちゃ旨いって聞くけど...世界三大ガッカリ名所の、あのシンガポール?」
「その覚え方はやめなさい」
「どこか行きたい所とかがあるんですか? あ、アフタヌーンティーとかで有名なホテルもありましたよね?」
「ラッフルズとかな。でも別に観光しに行きたいとかじゃないんだ...ただ今すぐにでも勇輝を連れて行きたいってだけで」
「え? どういう事?」
「奇遇だねぇ。俺も今行きたい所はシンガポールなんだよね~。どうしても充彦と一緒に会いたい人がいるからさ」
「......なんか訳あり?」
「結構訳あり。充彦にとってはけじめ付けなきゃいけなくて、俺にとっては『はじめまして』のご挨拶しないといけない人がね、一人ぼっちで充彦が会いに来てくれるのをずーっと待ってるからさ」
「10年近く待たせてるからな...できるだけ早いうちに行ってやらないと。んで、対面が終わったら改めて観光だな。マリーナ・ベイ・サンズ辺りに泊まって、食って賭けて食って賭けてセックス!って旅行も良くない? でも、ちょっと下町っぽいとこで地元の食堂入って、海南鶏飯とか食ってもいいな」
「その時は...きっと3人だね」
「えーっ!? そっからは二人きりだろうよ」
「あの...なんかバケーション感、すごく薄いんですけど」
「そうねぇ、確かに。でも今はシンガポール行く事しか浮かばないんだよなぁ......」
「俺は、シンガポール以外ならイビサかなぁ。世界一の夕日ってのを見ながら......」
「ヤりたい?」
「結局そこですか!」
「勇輝と一緒にいる限り、俺の最終目的はそこです!」
「な~んか、訳ありシンガポールはあんまり突っ込まれたないみたいやね。ええわ、また酒飲んでる時にでも教えてよ」
「お前飲みだしたら、ずーっと航生に跨がってチュッチュしてんじゃん」
「......まあ、カメラ無いとこで話すよ。ああ、中村さんにも話さなきゃ...あの人も俺の事色々知ってるし。今度、好きな酒持ってうちに集合な」
「という事で、あたさん、今の俺達が海外にバケーションて考えたらこんな感じになりました」
「バケーションは俺らだけやん。おまけにアホ扱いされるし」
「俺らのも一応心のバケーションなのよ、大切な場所なの。なんか、純粋に楽しみに行く場所が言えなくてごめんね」
「おっ、まだ少し時間取れるみたいなんで、もう一つ質問紹介しますね~」
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