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好きだから【5】

身体中を勇輝の指と舌が這い回る。 肌にそれが触れるたびに、俺の体は無様なくらいピクリピクリと小さく跳ねた。 これくらいの愛撫は、いつものセックスでもお互いの気持ちを高める為にしている事だ。 何も勇輝から愛撫を受ける事は特別なわけじゃない。 けれどなぜだろう...今日は微かな吐息にすら全身が粟立つ。 どうにも堪らなくなって、脇腹をなぞりながら乳首を丹念に舌先で転がしている勇輝の頭をギュッと抱え込んだ。 「どうしたの?」 「んはぁっ...わかん...ねえ...わかんねえんだけど...でも、なんか......」 「いつもより感じる?」 少し面白がるように、勇輝がカリッと乳首に歯を立ててきた。 途端に背中が大きくしなる。 抱く時は気持ちが昂るだけの行為だ。 そこが殊更敏感だなんて思った事は無い。 けれど、抱かれる立場になった途端にこれだ。 今の俺は、僅かな快感をも逃がすまいと神経が鋭敏になっているのだろうか。 「ああ、すごいね...まだ触ってもないのに...ここが、ほら...」 勇輝の指が脇腹からするすると下がっていく。 キュウとぺニスを握り込まれればやけにその手の動きは滑らかで、もう俺の物がしとどに蜜を溢れさせていることを実感した。 ヌルヌルと緩くそこを扱く動きに思わず唇を噛む。 「先に一回出しとこうか? その方がこの後楽でしょ?」 勇輝の言葉に、俺は小さく首を振った。 「や...だ...お前と一緒に...イキたい...」 「でも、この後イケるかどうかわかんないんだよ?」 「でも...イケるかも...しれない...」 「...んもう、変に頑固なんだから。ほんと今日の充彦は可愛い。じゃあね、イきたくなったら我満しないで出すんだよ」 まるで幼い子供に噛んで含んで言い聞かせるような物言いに抗議の一つでもしたくなったけれど、俺の腰の下に枕を差し込まれて言葉が出なくなる。 ああ...とうとう来るのか... 緊張からか、上がっていたはずの体の熱が急速に失われていく。 勇輝が脚を持ち上げ、俺に膝を抱えるように優しく言った。 「ギュッて力入るくらい無理矢理持たなくてもいいよ。腰上げてるのしんどいなら、もう一つ枕使えばいいだけなんだからね。ただ、辛くないならできるだけその位置キープしといて」 「わか...った......」 情けないくらいに震える声。 何年も昔の事だというのに、俺の体はかつて一度だけこんな格好を取らされた時の事を覚えているのかもしれない。 嫌な動悸が激しくなり、自然と呼吸が荒くなる。 そんな俺に、勇輝が気づいた。 脚の間に体を入れ、ニコニコと笑みを浮かべながら俺の目の前にゆっくりと顔を近づけてくる。 「嫌がる事はしない。道具も使わない。何より今から充彦の中に入るのは....俺だから。昔とは違うよ、大丈夫」 顔中に唇を落としながら、膝を抱える俺の手にそっと自分の手を重ねてきた。 「勇輝としたい...でも...やっぱちょっと...怖い...」 「ん、そうだよね、わかってる。ちゃんと素直にそう言ってくれて嬉しい。ただね、俺だよ。他の誰よりも充彦の事わかってる俺だから。もしうまく言葉に出せなかったとしても、俺はちゃんとわかるからね...嫌な場所も気持ちいいトコも全部。だから今はとにかく俺に全部任せて、充彦はただ感じる事だけ考えて」 俺を見つめる穏やかな瞳に、少しずつ強張った気持ちと体がほぐれていく。 そうだ、あの時とは違う...ただ流れ作業のように潤滑剤をぶちまけ、機械の力で強引に穴を抉じ開け、気持ちも体も整っていない俺の体を強引に割り開いたアイツらとは違うのだ。 「ごめん、もう...大丈夫...だって、勇輝だもんな」 「そう、俺です。あ、そうそう。痛いとか苦しいなんて話は聞くけど、恥ずかしいは却下するからね...先に言っとく」 少しでも笑顔の作れた俺を確認すると、勇輝の頭がゆっくりと下りていく。 その勇輝の指が、俺のケツをグッと掴んだ。 そこを左右に開き、そっと掠めるように中心に触れる。 本当に、少し触れるだけ。 あとは、キュッと軽く押しては離すを繰り返している。 「風呂でちょっとマッサージしたから大丈夫かと思ったけど、やっぱりまだ少しきついね...」 言うと同時に、勇輝の顔がグッとそこに寄ってきた。 「ちょっ、勇輝! お前、何を...」 「ちょっと黙って!」 焦って暴れそうになる俺を制するように強く響いた声。 「恥ずかしいだのなんだのは聞かないっつったろ? 充彦は黙って俺を感じてろ」 さっきとはまるで違う、鋭く艶やかな視線が俺を捕らえた。 何かのスイッチが入ったのか、それとも、いつまでもじたばたしている俺を抑える為に芝居がかったのか。 何にせよ、俺はその勇輝の声と視線に...動く事も抵抗の声を上げる事もできなくなった。 怖いのでも、不快だったのでもない。 ときめいたのだ。 勇輝はやっぱり、自分の声が武器だと知ってるに違いない...俺の胸はトクトクと鼓動を早くしている。 大人しくなった俺にまた一度優しい笑みを向けると、勇輝の顔はさっきまでと同じように俺の奥まった場所へと近づいていく。 「勇輝...」 吐息と共に漏れた声を聞きながら、勇輝の熱い舌が中心へゆっくりと挿し入れられた。

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