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男の嗜み?収録再開

『二人にもっとAV業界の話とかも聞きたいんだけど、でもやっぱり今一番聞きたいのは......』 『航生くんと慎吾くんの事よね~』 「聞きたいですか?」 「エクスプレスで十分でしょ?」 『やだぁ、どんな縁で知り合ってどんな子なのかとか、すっごい気になるぅ』 『航生くんて......』 『ちょっと待ちなさいよ! 勇輝と先に知り合ったのは慎吾くんなんだから...ああっ、もうっ! 慎吾くんとか言いにくい!』 「熊子さんはキラの時代を知ってるし、アイツの事もすごい可愛がってくれてたもんね」 『えっ!? 熊子さん、浮気?』 『そんなんじゃないわよ! もうキラって呼ぶけどさぁ...あの子、雑誌でチラッと紹介されてた勇輝に憧れて、高校卒業してすぐに大阪から着の身着のままで出てきたのよね?』 「うん、そう。ほんとお金も何日かビジネスホテルに泊まるのが精一杯ってくらいしか持たないでいきなり来たんですよ」 『それで、自分で家賃払えるようになるまで、勇輝が面倒見てたんでしょ?』 「そう。どれくらいだったかな...1ヶ月ちょっとくらい? その間に接客教えたり料理教えたり、まあ...色々と」 『色々って...あの色々!?』 「その辺はほら、あっちこっちでも話してますし...ね? だってアイツ、童貞バージンの癖に客取るとか言うんだも~ん」 『キラが来てから、店の雰囲気結構変わったよね。まあ関西弁のボーイがあの子しかいなかったのもあるんだけど......』 「アイツ本当明るいし、人の懐に入るのが本当に上手でしたもんね。みんなに可愛がってもらって、あっという間に店の会話の中心になっちゃった」 『それでも、勇輝の人気は不動だったけどね』 『そうなの? でも慎吾くんだってあの美形な上に明るくてお喋り上手で、おまけに勇輝くん仕込みの床上手なんでしょ? それでもやっぱり勇輝くんには敵わなかった?』 『ああ...確かにセックスは上手だって噂にはなってたわね』 「アイツは元々男にしか興味が持てない自分の性的な嗜好を消して生きてたから、隠さなくても良くなった途端一気に花が開いたんじゃないかな」 『勇輝はね、良くも悪くもすべてが完璧だった。完璧過ぎた。見た目も頭の回転もセックスのテクニックも性格も、本当に一切非の打ち所が無かったから、一度本気で勇輝に惹かれてしまった人間は他なんて見えなくなる。でもね、完璧すぎて勇輝は見てるだけでいいって人も多かったのよ。そういう人は、どんどんキラのファンになってたわよね? わかりやすく愛嬌があってわかりやすくイヤらしいんだもん』 「あ、その辺ちょっとだけわかるかも。慎吾くんて、ちゃんとそこに存在してる人間なんですよね。喜怒哀楽もハッキリしてるし、生身の男の子って感じする。勇輝の場合はちょっと出来すぎてて、俺でも本当に現実に存在してるって実感が沸かないとこあったし。少し不完全で不安定な面を見せる事を恐れない慎吾くんにこそ人間的な魅力を感じる人は多かったかもしれないですね」 『ちょっと、みっちゃん! アンタ、まさか勇輝よりもキラの方が興味あるなんて言わないわよね!?』 「あれ? 熊子さんが今言ったんですよ? 一度勇輝に惹かれてしまった人間は他なんて見えないんでしょ? 俺は勇輝のね、完璧だからこそ脆いって部分にメロメロなんです。その脆さを隠すための完璧さが堪らないんです。不完全だからこそ実はちゃんと強い慎吾くんは、同じく不完全で強い航生に任せてますから」 『あーっ、もう...また熊子さんがみっちゃん睨んでるぅ』 『あっ、じゃあ話変えましょう! 航生くんはどういういきさつで3Pの仲間入りを?』 「いや、3Pって......」 「ま、したけどね」 「あれは、お前が仕掛けたんだろ! 俺が望んだわけじゃないわっ! 航生と知り合ったきっかけは、アイツがまだゲイビモデルやってた時に共演した事ですね」 『勇輝くんもゲイビに出たの?』 「いや、ゲイビでも男性主体のノーマルAVとか作ってるらしいんですよ、時々。たぶんイケメンモデル目当てに女の子が買ってくれるのを期待しての物だと思うんですけど」 『アタシ観たことあるけど、女性向けAVともまたちょっと違うのよ? 腰振ってる時の男の子のお尻の筋肉とか、興奮してる顔ばっかり撮ってて、なんかすっごい自分勝手なセックスしてんの。あれ、女の子に需要あるのかなぁ......』 「あ、女の人でもそう思うんだ? 俺だけが意味わかんないって感じてるのかと思ってました。じゃあ、なんであんなの作ってるんだろうなぁ...とりあえずね、俺とみっちゃんのグラビアが載ったすぐ後で、その話題性を狙ったみたい。初めてゲストとしてその現場に呼ばれたんですよ」 『よく話してるけど、当時の航生くんの印象ってそんなに最悪だった? ほら、今はもうひたすら一生懸命で、慎吾くんが好きで好きで仕方なくて、物凄く真面目って感じでしょ?』 「まあ、最悪でしたねぇ。勿論俺がゲイビの撮影現場ってのを知らなかったせいもあるんですけど、まずタバコ吸いっぱなしだしまともに挨拶すらしないし。アイツのセックス見ても、そりゃあもう自分勝手で...ほんとひどかった。でもそれがその現場では当たり前みたいで、誰も何も言わないんですよ。なんて気分の悪いモデルと現場なんだってムカムカして仕方なかった」 「勇輝がマジギレしてるのって、俺あの時初めて見たかも」 『はぁ!? 勇輝が? 怒るの!?』 「俺だって怒る事くらいあるわ! 実際、あんまり腹が立ってインタビュー蹴って帰った事もあるし。あの時は、それでなくても現場の雰囲気にムカムカしてたのに、アイツがやたらと俺に絡んでくるから余計に」 『アタシ、あの頃の航生くんのビデオ探して買ったんだけど、全然今と違うもんね。すっごい不貞腐れてて、人でも刺しそうな目付きしてて、そんな航生くんがボロボロになって泣くまで犯されてるの。イヤらしいとかじゃなくて、ほんとに可哀想になっちゃった...今の航生くんを知ってるだけに』 「うん、アイツね...俺に喧嘩売りながら、助けて欲しいって訴えてたような気がする。たぶんもう精神的に限界だったんじゃないかな。さっき話した『やりたい事』の為に必死で我慢してたんだけど、元々があの真面目で一生懸命な性格だから、あんな風にキャラクター作られてるのも仕事の内容自体も、本当に辛かったと思う」 「俺もそう思うよ。勇輝はそのSOSを感じ取ったから家に連れて帰ってきたんだろうなって。ほんとにムカついただけなら、殴ってギャラ叩き付けて出ていけばいいわけで、あとは大人同士の話し合いじゃない? 何も俺のいる部屋に連れてくる必要は無かったもんな」 『あ、そうか...勇輝くんてその時、みっちゃんの目の前で航生くんとエッチしちゃったんだっけ?』 「ちゃんとしたセックスを教えてやりたくなったから。やり方と相手への気持ち次第で、セックスは苦痛じゃなくて快感になるんだよって」 「あれはある意味感動だった。勇輝の腕の中で航生がどんどん綺麗になって、ほんとすっげえ可愛くなって...恋愛感情とは違う、愛しさってのが湧いてきた。もうね、ほんとビックリするくらい変わったんだよ」 「んで、もう絶対に航生をあの世界に戻しちゃダメだってみっちゃんがすぐに動いてくれて、次の日には俺達と同じ事務所の所属になってた」 「勇輝の為にも俺の為にも、アイツは絶対手離すわけにいかないって思ったからね」 『アンタはさ、目の前で勇輝が違う男抱いてるの見てなんとも思わなかったの?』 「抱いてる間は何とも。仕事で女の子抱くのと一緒でしょ? ただ、航生が初めて味わった快感を愛情と勘違いしないようにって釘は刺しときましたけどね」 「釘刺したってより、俺に楔を打ち込んだよな...ほんと鬼だわ」 『アンタの判断は間違いじゃなかった? 目の前で男抱いてる勇輝見て、その相手の為に大人動かして移籍までさせて......』 「間違いだったと思いますか? 家族に縁の薄かった俺達に家族みたいな存在ができて、その新しい家族の力が将来の俺達の夢の為には絶対に必要で、おまけに勇輝はかつての大切な弟分まで帰ってきたんですよ? 俺達、4人家族になったんです。あとは俺がその家族の長として、全員をしっかり纏めていきます」 『あ~ん、やっぱりみっちゃんて...カッコいい......』 『......そうね。さすがは勇輝のお眼鏡に叶っただけの事はあるってのは...ちょっと認めるわ』 『キャーッ、熊子さんが初めてみっちゃんに笑った!』 『ニヤッとだけど!』 『じゃあ昔のお話を色々聞けたんで、今度は今のお話と、写真集・DVDについても伺いたいと思いま~す』

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