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好きだから【10】
「充彦...もうちょっと力抜いててくんないと動きにくいんだけど...」
「んはっ...む、無理ぃ...これでも...抜いてるつもり...」
グイグイと中に押し入ってくる勇輝のぺニスは想像以上の圧迫感だった。
入り口さえ抜けてしまえば少しは楽だなんて誰が言ったんだと文句の一つも言いたくなってしまう。
限界まで広げられた入り口は勿論、通り道もローションの助けがまるっきり無駄だと思えるくらい、ギチギチと軋んでいるようだった。
勇輝が少し動くたびに内臓全部が押し上げられて、このままじゃ口から飛び出してしまうんじゃないかとすら思う。
苦しい...
耐えられないのかと聞かれれば決してそんなことはないけれど、それでも今勇輝から与えられている感覚は『快感』とはほど遠い物だった。
これを気持ちいいと感じられる瞬間が本当にくるのか、段々と不安になってくる。
唇をギュッと噛んでどうにかその苦痛を遣り過ごそうとしていると、突然勇輝が体を倒してきた。
そのままの勢いで俺の体がそっと抱き締められる。
「ゆう...き?」
「お願い。辛かったら俺の背中引っ掻いても肩噛んでもいいから、自分の唇そんなに強く噛まないで。俺...ほんの少しも充彦を傷つけたくないんだ」
俺の髪の毛を撫でながら、何度も何度も唇を合わせてくる。
その仕草があまりに優しくて、俺は言われた通り、筋肉のしっかりと盛り上がった背中に腕を回した。
食いしばっていた歯の力を弛め少しだけ唇を開けば、もうこれ以上は閉じさせないとでも言うようにすぐに舌が滑り込んでくる。
苦しさを紛らせようとする気持ちもあって、俺はその舌に夢中で吸い付いた。
唇の合わさる角度を変え、深さを変えながらも、その舌だけは離さない。
吸い、絡め、それに軽く歯を立てれば、俺の体を包み込む腕の力が強くなった。
しばらく俺のやりたいようにさせてくれていたはずの勇輝が、今度はまるで責め立てるように俺の舌を啜り口内を隈無く舐め擦っていく。
「んっ...ふっ...うぅん......」
声にもならない喘ぎが漏れ、勇輝の背中に回していた腕には自然と力が入った。
...ああ...やっぱり勇輝とのキスって気持ちいい...
体内を苛んでいる苦痛よりも、唇や舌に延々と与えられる甘い刺激に次第に頭はぼんやりとし、体がビクビクと震える。
その隙を逃すことなく、ギチと勇輝のぺニスはまた進んできた。
けれど、口づけに夢中になっているせいなのか、それとも体がその圧力に少しは慣れてきたのか、もうなんだか苦しいという感じがしない。
それどころか、俺と勇輝の間にしっかりと挟み込まれるている俺のぺニスが掠めるように刺激され、その事で微かに快感らしき物も生まれてきてるようだ。
俺のそんな体や感覚の異変に気づいたらしい。
勇輝のキスは更に激しさを増してくる。
流し込まれる唾液に呼吸すらままならなくなってきて、頭の中にはうっすらと靄がかかった。
「充彦...俺を受け止めて...」
耳元でポツリと囁いてゆっくりと離れていく唇と目をぼんやりと見つめる。
一瞬...勇輝の目付きが変わった?
それに気づいた瞬間ぺニスの先端は一気に最奥まで届き、俺の腰骨辺りにはこれまで感じた事がないほどの重い衝撃が走った。
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