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好きだから【11】
痛いとか苦しいとかって言うより、それはまさに『衝撃』だった。
そのあまりに圧倒的な力に思わず息を詰める。
「しばらく動かないから、安心して。んで、ちゃんとゆっくり息してね」
だらしなく口を半開きにしたままハフハフと頼りない呼吸をしている俺を見ながら、勇輝は困ったように眉を下げた。
俺のぺニスに指を掛けると、そこをそっと撫で始める。
「ごめんね、ギリギリまで我慢したんだけど、ちょっとだけ感じてくれてるのが嬉しくなって、つい『いっちゃえ!』ってなっちゃった」
俺のを丁寧に愛撫しながら、勇輝は本当にピクリとも下半身を動かそうとはしなかった。
この状態が決して楽じゃないのは、きっと誰よりも俺が知っている。
すっかり萎えてフニャフニャの物を弄る手に、そっと俺の手を重ねる。
「まだ...動くの無理そう?」
「もう少しかな。さっきいっぺんに突っ込んじゃったから、やっぱり中がちょっと緊張したみたい。動けなくはないけど、このまんまじゃ充彦が気持ちよくなれないと思うからね」
「そっか...ごめん...」
一気に突っ込んだなんて言うけど、最後の最後まで俺の状態をちゃんと窺ってくれていたはずだ。
それで、感じ始めたからこそ『大丈夫だ』とゴールを目指したんだと思う。
ならば、たったあれだけの事にこれほど体を強張らせる俺にこそ問題があるはずだ。
「なんでごめん? 俺の感覚でいっちゃダメだったんだよ。俺と充彦じゃ慣れ方が違うんだもん」
「いや、俺も...焦ってたかもしんない...早く全部受け入れないと勇輝も疲れて...萎えちゃうかもとか...思ったし...」
「萎えないよぉ、萎えるわけないじゃん。ビンビンだっての」
「それは...うん、今の俺はわかってる...」
「んふっ、そうでした。あ、ついでって言ったらおかしいんだけど、もう少しだけ我慢させちゃっても大丈夫かな?」
「我慢?」
「うん。まだしばらくは辛いかもしれないけど、充彦だったらこのまま待ってるよりは中が馴染むの早いかも」
「任せるよ、全部。情けねえけど...俺、この状態で...一人じゃなんも...できないし...」
俺の言葉を確認すると、勇輝は腰を動かさないように注意しながらゆっくりと体を倒してきた。
「はい、俺の首に腕回して?」
「え...何?」
「いいからぁ...ほれほれ、首にギュッてしがみついて」
まだあまり力が入らないながら、言われる通りに勇輝の首に手を掛ける。
と、いきなり俺の背中に腕を回すと、勇輝が俺の体ごと上半身を起こした。
それでもできるだけ中を刺激しないようにしているつもりなのか、片方の腕は、しっかりとケツの下を支えている。
「え、何、何?」
「動かない、動かない。俺にしっかり体預けてて」
それだけ言うと、しっかりと繋がったままで勇輝は俺を悠々と抱えるようにしながらケツの下に脚を敷いた。
「こんなデカい男を...駅弁でも...するつもりかと...思った...」
いくら動かすまいとしたところで、僅かな震動くらいは伝わる。
襞を擦られて、俺の肌はブワッと粟立った。
それでも軽口を叩ける程度には気持ちに余裕が出てきたのか、目の前の体にしっかりと抱きつきながら大きく息を吐く。
「駅弁がご所望ならその期待には応えられると思うよ...なんなら、慣れたらやってみる? 今日はさすがに無理だけど」
「慣れたら...な...」
お互いのしっとりと汗ばんだ肌がピタリと合わさり、なんだかホッと気持ちが落ち着く。
俺はトンと額を勇輝の肩に乗せる。
「ケツの下の腕...どけてもいいよ...」
「ん? でも、もう少し落ち着いてからのが良くない?」
「大丈夫...だと思う。つうか、抱き締めて欲しいんだ...両手でしっかり」
俺は体の中心を意識しつつ、どうにも動きの悪い自分の脚を必死で動かす。
ダラリと力の抜けっぱなしだったそれを、グッと勇輝の腰へと巻き付けた。
「んあぁっ...」
自分から中の熱を奥まで誘い込むような事になってしまい、思わず掴まった勇輝の背中に爪を立てる。
それでも全身がピタリと勇輝に触れているからなのだろうか、さっきまで感じていたほどの衝撃も辛さもなかった。
今感じるのは、経験した事の無い違和感くらいかもしれない。
「ほんとに大丈夫?」
「う...ん...大丈夫...みたい...そんなにきつく...ないよ...いいから...抱き締めて...」
勇輝が、今の俺なら座位の方が慣れるのが早そうだと言った意味がわかる。
隈無く触れあっていられる事でどんどん気持ちは落ち着き、そして少しずつ繋がった場所から別の感覚がジワジワと上がってくる。
「充彦...ギュッてしたげるから、充彦も俺の事、ちゃんとギュッてしててね」
ケツを支えていた腕が離れ、その腕はそのまま背中へと移動した。
支えの無い自分の体が重石となって、更に勇輝と隙間なく繋がる。
けれど今度は、悲鳴に近い声で衝撃を逃がす事はしなかった。
いや正確には、そんな必要はなかった。
「勇輝...まだ...もうちょっとだけ...動かないで...」
ほら、自分でそんなお願いを伝える事だってできる。
抱き締められている幸せにしばし浸りながら、俺は勇輝にしっかりと体を付け、体内の熱に自分の体内が喜ぶ瞬間が来るのをじっと待った。
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