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好きだから【13】
中をぺニスが行き来する速度がどんどん上がっていく。
そのたびにそれを包む襞が引っ張られ、押し戻され、グチグチと粘着質な音が部屋の中に響いた。
「ああ、ヤバい...充彦の中、ドロドロに溶けてるみたいで...すげえ気持ちいい...」
さっきまで余裕の顔でニヤニヤと俺の表情を窺っていたはずの勇輝が、眉間に皺を作りながら熱い息を吐いた。
自分の体が勇輝にそんな顔をさせている...そう思うだけで高揚感が増してくる。
もっと感じさせたい...
限界いっぱいまで広がっている穴の入り口と、ウネウネと不規則な蠢動でぺニスを包む内襞にギュウと力を入れてみた。
それほど大きな力は入っていないと思う。
残念ながらそこを自由自在に操れるようなテクニックなんて無いし。
ただ、とにかく勇輝をもっと感じさせたいと、強くそれを包み込む事を意識しただけだ。
けれど、勇輝は驚いたように目を開いて動きを止めた。
肩に担いだままの俺のふくらはぎに唇を滑らせながら、僅かに力を取り戻してきたぺニスをそっとなぞる。
「な~に可愛いことしてくれてんの?」
「...え? な、何...?」
「今ね、俺を...気持ちよくしようとしてくれたでしょ?」
「わ、わかる...のか?」
「そりゃあわかるよ。入り口も中も奥もキュッで俺に絡み付いて、締め付けて...。充彦だって、よく俺に言うじゃない、『今締めたろ』なんてさ」
「あんなの...お前だから...できる事なんじゃ...ないの...?」
「さあ、どうなんだろうね。でもさ、自分が気持ちいいのと同じくらい相手にも気持ち良くなってもらいたいって思ったら...きっと誰でもあんな風になるんじゃないのかな」
「そっか...俺でも...キュッてできた...のか...。気持ちいい? 勇輝は...俺としてて...気持ちいい?」
欲に濡れていたはずの勇輝の目が、ふと普段の優しい物に変わる。
右手で俺のぺニスを弄ぶ事は止めないまま、愛しげに左手の人差し指で唇をプニと押してきた。
「すっごい気持ちいいよ。あんまり良すぎて、充彦を気持ち良くしたげるの忘れそうになるくらい。充彦はどう? 俺に抱かれてるの、辛くない?」
「なんだろうな...辛くない...事はないんだ...うん、やっぱ...すげえ違和感...あるし...。でも...それを忘れちゃうくらい...気持ちいい...お前のが動くたびに...内臓ごと...ズルズル引っ張られてる...みたいだけど...」
「良かった、嫌な思いさせてなくて。じゃあそろそろ本格的に動こうかな」
「......へ?」
「え、何?」
「これで終わりじゃ...ないの?」
「......本気で言ってる? ああ...まあ、本気か。あのね、まだ今は慣らしてるのとあんまり変わんないよ。これからじゃん...俺が好きなとこを、いつも俺が喜ぶのと同じようにして欲しいんでしょ?」
しまった、甘かった...いつもヤってる張本人でありながら、俺の感覚は甘すぎた。
というか、ちょっと気持ちよくなってきちゃったせいで、自分が言った事も自分がいつもしてる事も、うっかり忘れてた。
そうだよ、勇輝はしばらく中を強く大きく擦ってから、奥の一番深い所を壊れそうなくらいガンガン突かれるのが好きなんじゃないか。
もうそれ以上は進めないってとこまで突き上げられ、抉じ開けられるのが好きなんじゃないか。
なるほど、その前段階だ。
確かにまだガツンと奥の方を攻められてはいない。
「前言撤回とかいうわけには...」
「うん、無理だね。充彦は、俺が本気で攻めてる顔見たいんでしょ? ここからだって。まああれだけ感じられるようになったんならもう大丈夫...もっと奥も気持ちいいと思うよ。泣いて喘いで欲しがらせてあげるから、ちょっとだけ覚悟してね。なんなら、このままトコロテンとか挑戦してみちゃう? 俺も充彦が射精するまで出さないように我慢するし」
俺を見つめる優しく穏やかだった勇輝の目付きが、ギラギラとした雄そのものに変わっていく。
いやらしくてちょっと怖い...けどそれ以上に、何かを期待して背筋がゾクゾクしている自分に驚いた。
「バ、バカッ...俺は実質...バックバージンだぞ! んなことできるわけないじゃないか! お前は鬼か、悪魔か、この鬼畜!」
自分の中に燻り始めた怪しげな熱に気づかれまいと、思い付く限りの暴言を並べてやる。
けれどそんな俺に勇輝は動じる様子もなく、不敵な笑みを浮かべた。
「ふーん...俺が鬼で悪魔なら、そんな俺に酷くされるのを期待してこんなにチンポ震わせてる充彦は、最高に淫らでマゾヒストな堕天使ちゃんだね。さ、ぼちぼち俺好みの体に仕上げようか...」
精一杯の罵詈雑言が、勇輝の中のヤバいスイッチを入れてしまったらしい。
中に留まったままの物をどうにか抜こうと俺が捩った体をすぐに強く押さえ込むと、勇輝はもうそれ以上進めないというところまで入り込んでいたはずのぺニスを更に奥深くまで捩じ込んできた。
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