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クイーン・ビー・エクスプレス 第8回【4】
「さてさて、では次の質問にいきましょうか。おっ、皆勤賞だ...あたさんからの質問です」
「おおっ、せっかくやからみっちゃん読んだら? みっちゃんファンのあたさんやろ?」
「いや、でもおばさんのツイッター覗いてたら、慎吾くんに絶賛浮気中なんだよなぁ......」
「俺ぇ!? また全然タイプちゃうのに......」
「という事で、今回は慎吾くんが読んであげて」
「ええーっ!? うわ、あたさんごめんなぁ。そしたら読みます。『壁ドンや顎クイなどなど流行りましが、こんな風に来られると動揺したりドキドキしたりって仕草はありますか?』という質問なんですが...どう? みんなそんなんてある?」
「壁ドンなぁ......」
「みっちゃんと勇輝くんくらい身長差あったらさ、壁ドンも顎クイも相当効果的ちゃうのん?」
「勇輝に壁ドンなんかしたら、すっげえ冷たい目で睨まれるわ」
「そうだねぇ...ちょっと拗ねてる時に、ものすごく優しい目で顎クイされたらクラクラしたけど。確かに壁ドンはないかなぁ」
「勇輝くんからすると、顎クイ派なん? まあ俺も壁ドンはちょっとムカッとするけど」
「ある意味脅迫罪だよなぁ。あ、でも俺のベストは顎クイじゃないよ」
「ほうほう。じゃあ一番ドキドキワクワクムラムラする仕草ってどんなん?」
「充彦がデカイからこそできるんだと思うけど...あのね、俺がこうソファに座ってんじゃない? そしたらね、ソファの背凭れ越しにフワッと後ろから抱き締めてきたりするんだよ。体の大きさとか腕の長さに余裕があるから、無理矢理ギュウギュウするとか首が絞まりそうになるとか無く、もうほんとにさりげなくフワッて。その力加減と充彦の体温と微かに漂うコロンの香りがまあ絶妙で...なんかもう、心臓のバクバクが止まらなくなる。気持ちと力といっぱい込められてギュウギュウ抱き締められる事なんてのはしょっちゅうで、それはそれでメチャクチャ嬉しいんだけど、あのバクバクする感じとはまた少し違うんだよね」
「ああ、確かにみっちゃんくらい腕が長なかったら、フワッとやなしにピッチピチになりそうやもんな」
「充彦さんは何かありますか? まあ、万年発情期ですから、どんな仕草でもムラムラくるとは思いますけど」
「お前なぁ、それ質問の主旨と違うだろうが。ムラムラじゃなくて、ドキドキとか動揺したりだろ? まあ大概は何しててもドキドキよりムラムラが先には来るんだけど......」
「ほらぁ」
「でもね、仕事で辛かった時なんかに、明らかに疲れて傷ついた顔してんのに無理して笑いながら『ちょっとだけ背中貸して』って俺の背中に顔擦り付けてきた時はムラムラとか言ってらんなかったわ。すげえドキドキした」
「それでドキドキするんですか? 動揺ならわかるけど。というか、勇輝さんが仕事辛くてそんな風になるってのが意外......」
「ほら、どうしても撮影の設定自体では、女の子痛めつけないといけない時もあるじゃない? 役に入ってる時にはなんとも無いんだけど、やっぱり素に戻ったら相手役の女の子に申し訳無いって思っちゃうんだよね」
「な? 勇輝が仕事が辛くてそんな風になるなんて誰も思わないだろ? 俺も思ってなかったの。実際、俺はそんな風になった事も思った事も無かったし。んで、勇輝が俺に今すっごい弱い姿を見せてるんじゃないか、俺だから安心して辛さを吐き出せてるんじゃないかって思ったら、なんか愛しくて大切にしたくてドキドキした」
「で、そこからの......」
「ムラムラした! うわあ、言わせるな! でもね、そんな姿見せられるといつも以上に優しくしてやりたいって思うし、辛かった事全部忘れられるくらい気持ちよくしてやろうって必死になったよ。自分のムラムラは忘れてもいいってくらい、勇輝の望む事だけを考えてたと思う」
「うん、そうかも。俺も甘やかされたくて弱み見せちゃってたはずだから、充彦が全身で応えてくれたのは嬉しかったなぁ......」
「だから、俺がドキドキすんのは、普段見せない弱った姿で俺に甘えて寄り添ってくる姿かな」
「慎吾は?」
「航生くんて、みんなも知ってる通り、俺にでも基本敬語は崩せへんのな。イチャイチャしててもこのまんまやねん。それがさ、朝たまに俺のが先に起きて航生くん起こしたりするやん? そしたら、ほんまにたま~にやねんけど、寝ぼけてんのか『まだ早いだろ』とか『いいから寝てろよ』とか、いっつもより低い声で不機嫌そうに言う事あんねん」
「え...えーっ!? すいませんっ、俺そんな事言ってるんですか?」
「エエのエエの。このたまにしか出えへんタメ口と掠れた低い声聞いた瞬間、もうドキドキして心臓がキュンキュンして、ついでにチンコがキューッてなる。ほんま滅多に無いからさ、Sレアやねん、タメ口航生くん!」
「Sレアでも、それが『航生』って段階で弱そうだよな」
「いや、育成のしがいはあるかもよ。間違ったら最強キャラになるかもしんない」
「ひ、人をゲームキャラにしないでください! だいたい、間違ったら最強ってなんなんですか!」
「そのまま育てても、すげえヘタレでここ一番に弱そうだもんなぁ?」
「最強装備は『慎吾』ってアクセサリーな。付けてるだけで攻撃力メチャクチャ上がりそう」
「でも、防御力ゼロになりそうなんだけど、ニヤケ過ぎてて」
「そりゃあ、呪いの剣状態だな。教会で呪いを解いてもらわないと」
「Sレアの話から、なんでドラクエになるんですか!」
「あ、知ってた......」
「まあいいや。じゃあ、航生は? 慎吾くんがしてきて動揺する仕草ってある?」
「ああ、えっとですね...前の質問にも被るんですけど、慎吾さんが受け身での撮影があった日は、できるだけ俺はエッチしないでおこうと思ってるんですね。したいって気持ちは勿論あるんですけど、撮影でネコ役やるのって普通のエッチ以上に辛いのもわかってるんで、今日は我慢しなくちゃって考えて、一応キスだけにしてるんです」
「ああ、でも慎吾くんはしたくて堪らないから......」
「襲われる?」
「......はい。ベッド入ってそのまま寝ようとしたら、イラついたみたいな顔でいきなりガバッて布団剥ぎ取ってきて。目を爛々と輝かせながら四つん這いでゆっくり俺にのし掛かってこられると、ほんとドキドキというか、アワアワします。またその俺に近づいてくる時の表情が、ビデオで見せてるのよりもうんとイヤらしくて、なんか目が爛々だけじゃなくて舌なめずりまでしてるんで......」
「でも結局、ドキドキアワアワしながらもパコパコなんだろ?」
「いや、そこはせめてムラムラにしといてくださいよぉ」
「パコパコやでっ! 俺が近づいたら、航生くんの航生くん、すーぐ元気になるからな、即跨がったんねん...逃がさんように」
「慎吾くん、怖えよぉ...勇輝よりずっと怖い」
「ん? ずっと怖いって事は、俺もたまには怖いの?」
「えっと...なんのことかな?」
「俺、なんか怖い事した?」
「一緒だってぇ。撮影で疲れてるだろうからって一回で俺が止めようとしたら、スイッチ入ってる時だとそのまま俺押し倒して跨がってくんじゃん」
「......まあ、してるな。でもあれは、俺がもっとしたいって言ってるのに止めるからだろ!」
「わかる! スイッチ入ってヤル気全開やのに、せえへんとか止めるとか、そんなん言うてる方が悪いねん!」
「う、うわあ、収拾つかなくなってきた。とりあえず、なんにしても俺らドキドキの後にムラムラが来るのは間違いないみたいです」
「あ、勝手に締めやがった。仕方ない...んじゃ次の質問いくか」
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