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酒とジビエと温泉と【8】
一人股間をチャプチャプ濡らす俺を笑いながら、残り3人も急いで服を脱ぎタオルを腰に巻いているのが見える。
俺も、すっかりスケスケ状態のタオルを取り替える為に一旦脱衣場に戻った。
実際問題、さも『今から露天風呂に入りま~す』みたいな体で写真を撮るというのに、俺一人が下半身を中心にびしょ濡れってわけにはいかない。
腰に巻いてたタオルを隅に置かれたカゴに放り込み、新しいタオルを腰に巻く。
足元の水気を拭っていると、ポンポンと背中にバスタオルが押し当てられた。
「ん? 背中まで水飛んでた? サンキュ」
「......ううん...テンション上がりすぎてちょっと悪ふざけしちゃった、ごめんね」
俺は足元に向かっていた目線を上げ、大きく丸い瞳に向かってニッコリ笑いかける。
「いいよ、俺ららしいイイ雰囲気になっただろ? 明るくエロくセクシーに...ってな?」
「そう? うん、ありがと」
「まあ、そういうの気にすんなって。いじられるのは俺か航生の役割なんだし」
「俺をいじるのはほぼ充彦さんだけです! それに、俺は別にイジラレ役を買って出てるつもりは無いですけど」
「お前がいじられたくないんなら、代わりに慎吾くんいじってやろうか? アソコもココも、奥の奥までグジグジと......」
「アカ~ン、みっちゃんやめてぇぇ。そんな奥までいじられたら、俺イッテまうぅぅぅ」
「......どうだ、わかったか。慎吾くんがイジラレ役だと、なんだかんだすごい問題あるだろうが。ノリノリすぎてイジラレ感が恐ろしく薄い上に、たぶん放送も撮影もできないぞ」
「俺でいいです......」
ムスーッと膨れっ面してる航生はそれほどイジラレ役が嫌なのか、それとも慎吾くんが『イッちゃう~』的な事を俺に向かって言ったのがムカついたのか。
......たぶん後者だな。
とりあえず怪しげなモッコリも無事に収まり、準備万端でみんなを見る。
備え付けのタオルは割りと大判で、体が大きめの俺達でもきちんとケツまで隠れてた。
ただしあくまでもちゃんと『覆えてる』ってだけで、そこは悲しいかな薄手の白い普通のタオル。
おそらく他の人より若干モジャ毛が元気で豊かだと思われる俺と航生は...濡れても無いのにそのモジャモジャ辺りの色が違う。
「俺ら、ほんとにこれで大丈夫なんですか?」
「んな事言ってもなぁ...剃るか? 俺はもうAV出ないから別にいいけど、お前剃ったらなかなか滑稽だぞ? 勇輝も断固として抵抗したくらいだし」
「航生、絶対剃るなよ。絡み撮る時に、相手はタワシなのにお前パイパンとか、お笑いDVDになるぞ!」
「大丈夫。航生くんが剃るんやったら、俺もちゃんとお揃いでツルンツルンにするで」
「剃りませんって! んもう...剃らないですけど...なんかこれって、普通の全裸よりも恥ずかしい」
「布製のモザイクとでも考えとけよ。ほら、行くぞ」
勢いよくドアを開くと、4人並んで浴場へと戻る。
黒木くんと山口さんは岩風呂の側で光量を測定し、アンブレラのセッティングをしていた。
少し日が傾いてきたとはいえ、まだまだ十分に明るい。
岩風呂の方にはしっかりと光が当たっているらしく、開いたアンブレラは檜のジャグジーの方へと向けられていた。
「黒木く~ん、俺らこんなんだけどいい?」
セッティングの手を止めた黒木くんの正面に立ち、タオルの上から股間を指差す。
航生は今更ながら恥ずかしそうにそこに手を当ててガッツリ隠してた。
「わっ、あ...ああ...みっちゃん、そこ濃いんですねぇ......」
「わおっ! みっちゃんのジャングルを激写!」
山口さんが嬉しそうな顔でハンディカムを手にグググッと寄ってきた。
まあ、自動的にモザイクがかかってるも同然だから、とりあえずちょっとだけファンサービスに...と腰をカクカクと振るようなポーズだけ取ってみる。
「山口さん、写真が全然進まないからほどほどにして。黒木くん、マジで充彦と航生はおケケ濃いからこの状態でも少し透けてるんだけど、ほんと大丈夫?」
「大丈夫です大丈夫です。全裸はバックショットだけですし、正面の時にはできるだけ上半身ばっかり写すようにしますから。最悪、モロ中身さえ写ってなきゃいくらでも修正しますし...いやまあ、写ってても修正できますけどね」
「モロ出しモロ出し~」
「山口さん、山口さん。出さないからね」
「てか、そんなに俺らの具って見たいの?」
「うん、超見たい。なんせ濃厚にエロくて最高に面白いビデオ撮って来いって厳命受けてるし。撮れ高悪かったらたぶん殺されるもん。何より俺、男女問わずかっこ良くてエロい人大好きだからさ、公私共に只今興奮MAXです!」
「俺らの具くらいいつでも見せたげるから、今はちょっと落ち着こうか。早くしないとホテルに迷惑かかるし、これ以上日が落ちたら光量やばいんじゃない? もっと照明入れなきゃいけなくなるでしょ」
黒木くんがちょっと困った顔をしてるのにようやく気づいたのか、山口さんは少しだけ首を竦めると口をキュッと結んだ。
はぁ、やっと静かになったよ......
「山口さん、心配しなくて大丈夫だから。このあとたっぷり面白い話もエロい話もエッチな格好も撮らせてあげるから、ちょっとだけ待っててね。んで航生、お前はいい加減観念して手どけろ。どうせモジャってるもんは仕方ないんだし、写真には写んないんだから。はい、じゃあ黒木くん、チャチャッと行こうぜ。俺ら黒木くんの言う通りに動くから、遠慮なく指示してね」
タオルが変なタイミングで落ちたりしないよう、腰の結び目を一度しっかり引っ張って確認する。
勇輝は柔らかく微笑みながら緩やかにストレッチをして肩の筋肉のパンプアップを始めた。
航生も顔つきを変え股間から手をどけると、『頑張ろう』と励まし合うみたいに慎吾くんとコツンと額をぶつける。
「じゃあまず、待ちに待った温泉に入れる!って感じで、楽しそうにテンション高めで入り口に横並びで立ってください。並びは両端がみっちゃんと航生くん、内側が勇輝くんと慎吾くんで行きましょう!」
威勢のいい黒木くんの声に、俺達の撮影会が始まった。
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