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サービス、サービス!【10】

「うわっ...最後の最後に、えらいの引いたね」 俺の渡した紙を開いた途端、山口さんが心底驚いたような顔を見せた。 いやいや、自分で考えたくせに、そんなに驚かないでくれないかなぁ。 一体俺は何を引いてしまったんだとひどく不安になってくる。 「じゃあね、まずはみっちゃん、その半端に飛び出してるモノを中にしまってくれる?」 「しまうのが関係あるの?」 「大いにあります」 そんな風に言われ、充彦は首を捻りながら例のチョロリをパンツの中へと戻した。 なんだろう...ちょっと残念に感じるのは、ただ見慣れたからってだけなのかな? 「さてさて、では罰ゲーム発表しま~す。『ストリップからのオナニーショー。ただし、下着だけは脱がない事。3分以内にパートナーの下着にガマン汁で染みができたら罰ゲーム終了。できなかった場合はもう一枚指令書を引く事」 「ストリップはともかく......」 「オナニーショー!?」 最後の最後に、俺はなんて罰ゲームを引いたんだ...無理無理、そんなもん無理だって! 「山口さ~ん、俺、人前でオナニーなんてできないってぇ。そんな需要なかったし、元々ほとんどオナニーなんてしたことないんだから!」 「ん? してたでしょ、ちゃんと。こないだのビデオでは発射までいってたし」 「そりゃ、確かにあの時はしてたけどぉ......」 「状況は変わらないじゃない。ほら、カメラが回ってるのも一緒、好きな人がいるのも一緒でしょ?」 「でもぉ...あれはビデオを見てくれてる人を興奮させる為だったもん。そんな、充彦を興奮させる為のオナニーなんて......」 ほんと、興奮させられる自信とか無いって。 おまけにさっきまで先端が外気に触れてヒエヒエのシナシナだぞ? 普段でもゆっくりお互いに触り合って高め合っていくってのに、俺がオナニーの真似事したからってあの完全に縮んでたヤツを大きくできる気がしない。 「まあ、それでもやってもらわん事には終わられへんもんね。さっさと終わって、俺は早よ航生くんと二人になりたいねんけど?」 「ある意味一番の問題児で一番下手くそだった人だけが全くの無傷っていうのは、やっぱりちょっと不公平ですしね」 まだ慎吾は足許がふらついてるのか、しっかり抱き合ったままの二人がクレームらしき物を入れてくる。 もっとも、その顔は怒ってる風でも不愉快な風でもなく、寧ろ期待でもするようにキラキラの目をしていた。 「いやね、できなかったらもう一枚とか、俺だけひどくない?」 「だからぁ、みっちゃんをギンギンにすればいいだけでしょ? なんかさ、これって最後にふさわしくない? 今みっちゃんを勃起させられる唯一の人が、ファンの子の為に勃たせてみせるんだから」 「だったらフェラでもなんでもするってぇ...すぐだよ? ほんとマジで即勃つから」 「あのねぇ、フェラしちゃったら、勇輝くんの顔もみっちゃんのアソコもモザイクかけなきゃいけなくなるでしょ?」 「じゃ、じゃあパンツ越しにグチョグチョにするから! それなら形くっきりだし、ノーモザイク!」 どうにも不公平感と不安が拭えなくて、あれやこれやと妥協案を提示してみる。 そんな俺の無駄な足掻きを止めたのは...結局やっぱり充彦だった。 「俺、勇輝が俺の事考えながらオナニーしてるとこ、見てみたいな~」 「......へ?」 「いいじゃん。酔ってる時とか仕事の事考えて俺が手ぇ出さない時とか、すんごいエロく俺の事誘ってくるんだから、十分誘えるし煽れるって。俺にされたい事、俺がしてる事思い浮かべながら勇輝が一人で気持ちよくなってる姿見せてよ」 「だって......」 「ここで目一杯興奮したらさ、二人で部屋に帰った途端気持ちMAXですんげえガツガツできると思わない?」 優しげに目を細めて小首を傾げる充彦。 けど、その目の奥にはゾクゾクとするくらい凶暴な光が宿ってる。 すぐにでも食らい付けるように、自ら下拵えをしておけとでも命令されてる気分だ。 普段は隠している本性が、胸の奥でチリチリと火を灯す。 そんな俺に気づいたのか、充彦がペロリと自分の唇を舐めて浴衣を脱ぎ捨てた。 「ほら、勇輝も脱いで...できるだけイヤらしく、いつも俺をベッドに誘う時みたいにゆっくりな」 トクトクと早くなる鼓動。 優しい表情とはうらはらに、有無を言わせない声。 更に背中を押すように、俺に向かって中指を立てて見せた。 「ほら、舐めたいんだろ? さっきの慎吾くんみたいに、苦しいくらい口の中グチャグチャにされて、涎垂れても口閉じられないようにしてほしいんじゃないの?」 すっかりそれから目が離せなくなってる俺に見せつけるようにたっぷりと唾液を纏わせ、その指をクイクイと見覚えのある形に動かす。 頭がそれを理解するよりも先に体が反応した。 キュッとケツに力が入り、なんだかムズムズとした物がそこから沸き上がってくる。 「吐きそうなくらい俺のチンポで喉の奥ガンガン突かれながら、ケツの穴弄って欲しいんだろ? だったら俺のチンポ勃たせて汁溢れさせて、早いとこ二人っきりになろうぜ...すぐにでもふやけるくらいしゃぶらせてやる」 ......ああ、そうだ...舐めたい...しゃぶりたい...気が遠くなるほど激しく喉を犯されたい.... 小さく灯った火が、ジリジリと体の芯を焦がしていく。 俺に加虐志向は無いけれど、被虐志向はある。 それは少しだけ...ほんの少しだけ...いつも隠しているけれど...... それは充彦の言葉と動きにのみ反応する部分。 そこが、痛いくらいに頭も体も支配していく。 「勇輝...俺を感じさせてくれる?」 甘く優しい命令にただ頷いた。 もう俺に躊躇うなんて道は残されていない。 一度静かに目を伏せ、体の中に溜まりきった熱い空気をゆっくりと吐き出す。 充彦と二人きりになるのだ...... 充彦にイヤらしく激しく愛されるのだ...... 帯に手をかけながらそっと瞼を上げた。 目が合った充彦が、ニーッと満足そうに笑う。 「よし...勇輝、いける。はい、山口さん、タイマーセットして!」 さっきまでが嘘のように、響いた声はいつもと何も変わらない充彦の声そのものだった。

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