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サービス、サービス!【11】

少しだけ顎を引き、僅かに首を傾げながら充彦へと目線を流す。 カメラの向こうも、航生も慎吾も関係ない。 ただ今俺が見るのは、欲しくて欲しくて仕方ない人。 その人の為だけに、ひたすら淫らになればいい...悦ばせればいい。 充彦の好みなんて、誰よりも俺が知ってる。 伏し目がちな横顔にひどく煽られる事も、そこから挑発するように真っ直ぐに見つめると一度息を飲む事も。 口許を微笑む形に変え、真っ直ぐに見つめる視線を外す事なく帯に手をかけると、結び目をグルリと斜め前へと持ってきた。 前を大きくはだけ、まるで写真集の時の遊女の時のようにだらしない程に衿を抜く。 下着の見えないギリギリの所まで裾を開くと、男にしては白い左足をスルリと差し出した。 どこをどう見たって男の体だ。 柔らかくしなやかな丸みなんて全く無い。 そんな男が、こんな風にストリップの真似事をして本当に欲情なんてするのだろうかとも思う。 けれど俺の持っている物すべて...髪の先から足の指、果ては流す汗の一雫にすら興奮する...俺が自分の存在を不安に思い揺れるたび、充彦はそんな事を言ってくれた。 ならば俺の持つすべての物を使って、充彦を昂らせよう。 左の腿を晒したまま、半身を少しだけ捩って充彦に対して背を向けた。 左手で帯の結び目を解き、右手でゆっくりと浴衣を背中側へとずらしていく。 帯をそのまま下に落とすと、臍の上辺りで浴衣を押さえながら振り返った。 改めてその目を見つめ、浴衣を押さえたままで小さく肩を揺らす。 サラリと後ろに布が流れ、鎖骨から両肩、乳首までが露になった。 「山口さん、勇輝始めるからタイマースタートして」 まだ冷静な充彦の声に、山口さんは慌てて腕時計のボタンを押した。 「いいよ、勇輝...すっげえ色っぽい。もっと俺を感じさせて」 充彦が卓球台脇のスツールに浅く腰をかける。 言葉に嘘は無いと教えるかのように、中に収められた部分はもうニットの生地を僅かに押し上げていた。 その微かな膨らみだけで俺の中の欲も大きく膨らんでいく。 辛うじてすべてが落ちるのを止めていた臍の上の手を外せば、フワリと浴衣が足下に広がった。 その手を口にチュッと含み指先を濡らすと、充彦に見せつけるように胸を反らして自らの乳首の縁をクルクルとなぞる。 さっきから欲しくて仕方なかった物の代わりに、俺は右手の中指と人差し指をグッと口内へと押し込んだ。 たっぷりと溜めた唾液をそれに纏わせて、大きな音が聞こえるようにと唇を強くすぼめる。 ゆっくりとその指を出し入れすれば、チュポチュポと卑猥な音が響いた。 その動きに合わせ、少しだけ固くなってきた乳首への動きを変える。 クルクルと擽る合間にそこを軽くプニと摘まみ、さらに固く大きくなってきた所を激しく擦った。 ジンとそこから腰に向けて甘い痺れが走る。 充彦の為だと思ってるからなのか、それともやっぱりカメラを向けられれば嫌でも興奮する仕事のせいか、いつもよりもそこは敏感になっているらしい。 ただ擦り摘まんでいるだけでは物足りなくなってきて、ギリギリと爪を立てる。 段々と口を犯している指が充彦の物のように思えてきて、俺はその指先が届く一番奥へと突き入れた。 やたら苦しくて、涙が滲む。 けれどもっと欲しくて、そんな物では全然足りなくて、乳首を思いきり捻り引っ張りながら、口内の指に必死に舌を絡めた。 どちらも痛い、苦しい。 充彦がいつもしてくれるのと全然違う。 足りない...もっと、もっと...... もどかしい...... なんでこんなに違うんだ...... 辛いのに、どんどん激しくしていく動きは止められなくなる。 ただ充彦にしてもらいたくて、充彦がしてくれるのと同じ快感が欲しくて。 「ンフッ...あぁん......」 苦しくてもその行為自体への興奮が抑えられず、呼吸の為に小さく開いた口からは喘ぎが漏れた。 そして自分の漏らした喘ぎ声に煽られ、体のあちこちがどんどん熱くなってくる。 下着の中がヌルヌルし始めた。 気持ち悪い...ううん、気持ち...イイ...... そこに触れたい。 今すぐパンツなんて脱ぎ捨ててこのまま思いきり扱いたら、きっとすぐに目の前には天国が広がるんだろう。 けれど下着は脱いではいけないルール。 それに、喉を嬲る指も乳首を苛める指も離したくない。 行為を止められない。 俺は床にペチャンと座り込み、充彦の目を見ながらそっと体を前に倒した。 膝を大きく開き、下着の中で大きくなったモノをゆっくりと床に擦りつける。 ......ああ、気持ちいい...いいんだけど...確かにいいんだけど...なんか違う...... 先端が床と体に、挟まれ潰され擦られる感覚に見悶える。 けれど気持ちだけがやけに昂り過ぎて、そのヌルい感覚だけでは物足りない。 もっと強くて、もっと直接的な何かが欲しい...... 段々と充彦の視線を感じる事よりも、今の快感を高める事しか考えられなくなってきた。 そこにはもう、恥じらいも戸惑いも無い。 喉の奥を突きすぎて粘度を増した唾液が唇の端を伝って床を濡らしていく。 ......あ...見つけた... 俺をもっと強く感じさせてくれる物を見つけ、意を決して座り込んで力の抜ける足を無理矢理立たせた。 そのまま傍らの卓球台へと左脚を乗せ、その角をピタリとペニスの裏側へと当てる。 グッと力を入れれば、食い込むようにその角が俺のを押し上げてきた。 途端に、全身に一気に電気が走る。  ......そう、これ...痛いくらいに直接的な快感...これが欲しかった...... 再び強く乳首を捏ねる指と、喉奥を撫でる指の動きを再開した。 同時に、卓球台に片足だけを掛けた格好でユラユラと腰を振る。 上半身を前へ後ろへと動かし刺激を受ける場所を変えれば、ペニスの先端が窮屈そうに下着のベルトゴムを押し上げてきた。 ヤバい...ヤバい...俺、イケる...このままイッちゃう...... 卓球台にイカされるなんてのはシャクだけど、もうこんなに気持ちイイんだから仕方ない。 まるで騎乗位のように腰を上下に、前後にと大きくくねらせる。 「あっ...あぁんっ...みつぅ...イくかも...イッちゃうかも......」 あと少し...頭の中がスパークしかかったその瞬間。 『ピピピッ、ピピピッ』とひどく大きく響いた無機質な電子音。 息を飲みながら黙って俺を見ていた山口さんが慌ててタイマーを止める。 「あ、あの...勇輝くん、終了......」 「今は無理ぃ...あともう少しだから......」 「はい、もう終わり! お前がイくのイかないのは関係ないから。山口さん、俺の我慢汁確認して」 どこか不機嫌にも思える声で俺を強引に卓球台から下ろすと、充彦は山口さんの正面に立った。 「ああ、勇輝くん残念! みっちゃんギンギンなんだけど、染みができるほどには濡れてませ~ん。いやでも...俺、ビデオのモザイク越しにしか見た事なかったけど、ほんとデカイんだね」 「勇輝いわく、『ただ長いだけ』ですけどね」 「じゃあ、もうあり得ないくらいにエロく頑張ってくれたんだけど、勇輝くんにはもう1枚罰ゲーム引いてもらいましょう!」 いやいや、今のこの生殺しが一番の罰ゲームだから! ビデオで射精寸前で待機させられるなんて事は珍しくはないけど、こんなに切羽詰まってる事なんてない。 気持ちが昂り過ぎてて、正直自分ではコントロールしきれなくなってた。 「お願い、すぐ終わるから...ちょっとだけそっちでシコらせて」 「ダメダメ。はい、罰ゲーム引いて~」 さっきの航生より腰が引けてて、さっきの慎吾よりもずっと足許フラフラ。 そんな俺を、ちょっと意地の悪い顔で笑う充彦が、それでも隣でしっかりと支えてくれた。 「本気でイこうとするからそうなるんだろ。ったく...卓球台にイカされるとか、俺が許さないっての」 「だって...充彦にされたい事一生懸命考えてたら、だんだんわけわかんなくなってきたんだもん」 「だったら早くそれ引いて、罰ゲーム終わらせろ。俺も結構限界だから」 後ろから『航生くん、なんで勇輝くん見ながらビンビンにしてんの!』なんてわめき声を聞きながら、俺は渋々例の箱に手を突っ込んだ。

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