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ラブラブフィーバー【充彦視点】

部屋に戻ると、いつものようにソファにピタリと肌を寄せ合いモソモソと弁当を食べる。 本当なら、今日は勇輝の大好きなトマトソースのロールキャベツを作ってやろうと思ってたんだけどなぁ... さすがに出来合いのコンビニ弁当だけじゃ味気ないだろう。 せめてスープだけでも作ってやろうとソファから立ち上がると、慌てて縋るような勢いでシャツの袖を掴まれた。 「どこ行くの?」 「ん? いやな、スープか味噌汁でも作ろうかと思って」 「いらない...」 ちょっとむくれた顔をしながら、勇輝がソファの座面をバンバンッて叩いてる。 「ここ、いろよ」 「どした? ほんとにスープいらない?」 「いらない。今は充彦が離れるのがヤダ」 普段もかなりベタベタしたがる方だと思うけど、なんだか今日はいつもより甘えん坊が激しい。 俺は隣に座り直すと、キュッと勇輝の俺より少し逞しい肩を抱き寄せた。 「なんかあった?」 「んにゃ。なんもないよ」 さっさと弁当を食べ終え『ごちそうさま』と手を合わせると、勇輝は器をポイとテーブルの上に放り投げる。 その途端、俺の首に腕を絡めながらグーッと体重をかけてきた。 いともあっさりソファの座面に押し倒されてしまった俺。 驚いている俺をよそに勇輝は胸に頭を乗せ、嬉しそうにスリスリと頬を擦り付けてくる。 整髪料も何も付けていないサラサラの髪をそっと指で梳いてやると、うっとりとした視線を一度だけ俺に向け、まるで匂いを嗅ぐように大きく息を吸った。 なんか...まるっきり猫みてぇだな。 しばらく勇輝の好きなようにさせてやりながら、今日の尋常ではない甘えぶりの原因を考える。 さて...前にこんなに甘えてきたのはいつの事だっただろうか... しばらく考えてみて、3ヶ月ほど前の夜をふと思い出した。 「勇輝......」 「ん? 何?」 「もしかして、明日は撮影休み?」 「そう、休み」 「明後日は、勇輝単体のラブラブエッチな撮影?」 「そうだよ~。さすがは充彦、すごいねぇ。何、俺の撮影スケジュールとか全部把握してんの?」 いやいや、俺が把握してるのはスケジュールじゃなくて勇輝の行動パターンです...って、これは別に言わないけれど。 勇輝は、ビデオのシチュエーションにどっぷり気持ちが入り込まないと役を演じられないタイプの珍しい男優だったりする。 よほど特殊な設定で無い限り、通常のAV撮影っていうのはだいたい現場で内容や手順を簡単に打ち合わせたら即本番になるんだけど、そんな事情もあって、勇輝にだけは事前に相手の女優と設定、そしてプレイ内容が伝えられるのだ。 迷惑をかけてすいませんと勇輝はいつも頭を下げているけれど、制作側からすれば予め決まっている内容を簡単にメールすれば良いだけのこと。 おそらくそれほどの手間ではないだろう。 日頃から腰も低く、どの現場でも可愛がられている勇輝が気持ちよく仕事できるようにお膳立てする事を嫌がりはしないだろう。 何より、気持ちが入った時と入ってない時の勇輝の芝居といやらしさ、そして存在感は雲泥の差だ。 Sキャラで同級生を言葉と体で責めたてる時も、震える子羊ちゃんのように泣きながら友達の姉から逆レイプされる時も...男であるスタッフが、あまりの勇輝のいやらしさにチンコをガチガチにしてしまったなんて噂までまことしやかに流れている。 いや、これは噂なんかじゃなく実話なんだけど。 で、実はその芝居にどっぷり入り込みたいって時は、前日に俺とそのシチュエーションでセックスをする。 俺が勇輝の役で、勇輝が女優の役。 なんかまあ予行演習みたいだけど、俺は別にそれを嫌だとは思ってない。 俺とのセックスが勇輝の仕事の役に立つならそれだけでも嬉しいし、何より色んな勇輝の表情を見られて俺自身かなり興奮する。 勇輝に言わせれば、女優さんの目線でセックスしてみると『嫌がりながらも体が疼くのが止められない』とか、『必死に我慢しようとしても、どうしても喘ぎ声が抑えられない」とか、そんなポイントがわかってくるんだそうだ。 もっとも、演技なんてできてるのは初めのうちだけで、途中からはわけわかんなくなってアンアン言いながら腰振りまくってるんだけど。 で、明日はオフで明後日はラブラブエッチの撮影ときた。 仕事柄、普段はどれほど興奮してても昂ってても、翌日の撮影にまで響く事がないように気持ちと体にちょっとだけブレーキをかけている。 それは勇輝も、俺も。 俺は勿論だけど、何より勇輝は体が一番の商売道具だから。 傷つける事はしないにしても、疲れた顔で現場に送り出す事はできない。 でも、明日は休み...今日はそんなブレーキの必要はないのだ。 望む望まないに関わらず撮影でガンガンセックスしている勇輝に対して、一穴主義を通して勇輝以外とは一切セックスしてない俺。 別に性欲が無いというわけでなく、寧ろ本来は桁外れに性欲の強い俺が本気のセックスをするなら、それこそ休みの前日でないと勇輝を壊してしまう。 「したいの?」 「何が?」 「エッチしたいの?」 「充彦は?」 「俺? んなもん、メチャメチャしたいに決まってんじゃん。勇輝に『気持ち良すぎて死んじゃう』って言わせたいもん」 「俺もね...気持ち良すぎて死んでもいいってくらい、充彦にメチャメチャに愛されたい」 .......。 はぁ、ヤバいヤバい。 なんもしてないのに、一気に息子が元気になっちゃったよ。 でもさ、仕方ないよな。 『超絶男前』『男優史上ナンバーワンの美形』と誰もが認めるクールビューティーが、俺よりちょっと低いあのハスキーなエロボイスでわざと煽ってんだもん。 まあ任せておきなさい、勇輝くん。 俺のテクニック総動員して足腰立たなくしてあげるから。 お望み通り、超ラブラブでエロエロな夜になることを約束しましょう。 目一杯の笑顔を勇輝に向け、俺の上に跨がったままのその体を下ろす。 「先にお風呂入っといで」 「一緒に...入んないの?」 「一緒に入っちゃったらさ、風呂で一回ヤりたくなっちゃうから。それってなんか勿体ないじゃない。今日はベッドで、すっごい優しくしてドロドロに蕩けさせてあげたいからさ。だから今は我慢して、中も外も綺麗にしておいで」 「......わかった」 「あ、そうだ。首のとこは特に念入りに洗っておいでね」 「何で?」 「......匂い、残ってんの。化粧品の匂い」 少しバツの悪そうな顔で勇輝はリビングを飛び出していく。 そんな後ろ姿を見ているだけで、ちょい勃ちだった息子はギン勃ちになってしまった。 (今からそんないきり立つなよ、我が息子。夜はまだまだ長いんだぞ) メッと子供を叱るように一度自分のチンポに注意すると俺は寝室に向かい、勇輝を悦ばせてやる為の準備を始めた。

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